◆人生も折り返し、自分嫌いを卒業する

小さな一人暮らし
「55年間生きてきて、約48年間は“自分が嫌い”と思っていた」というしょ~こさん。嫌いな自分を直視したのは、部屋の片づけをしてから。

「ガラクタや不要品と対峙するのは、それを家に入れることを選んだ自分と向き合うのと同じ」。耳に痛い言葉ですが、痛いからこそ真実味があります。

認めたくない自分を認めるのは、勇気と決意が必要。とはいえ、安心安全な「今までの自分」を、ものと一緒に潔く捨ててみれば、そこにはもう居心地のよさと癒ししかないのです。

「要る? 要らない?」。自分に対するこの問いかけは、きっとチャレンジ精神の裏返し。可能性を秘めた人生へ羽ばたくための、大いなる一歩ではないでしょうか。

片づけだけで人生が変わるの? と首を傾げたあなた。試しに、すぐそばの引き出し1個を片づけてみませんか。部屋の景色は、心の景色。コツコツ整えていくたびに、新しい自分との出会いがあるはず。明日からの毎日が、素敵に彩られるに違いありません。

<文/森美樹>

【森美樹】

1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx