さらに、犯人からの要求電話に対してアナログ交換機時代の逆探知みたいな『太陽にほえろ』(日本テレビ系)みたいな絵面でもって「IP電話なので逆探知できません」と言ってみたり、3,000万円だけ要求されたのに2億円は入ってそうなバッグを2つも持って受け渡し場所に行ってみたりと、演出面でも不安定な描写が重なってきて、もう予断だらけでお話が入ってこない。なんだったんだろう、いったい。
■ドラマを信用できなくなっている
要するに、決定的にこのドラマが信用できなくなっているんですよね、前回から。
雑談お気楽ミステリーから、どこかに舵を切ったことだけは間違いないんでしょうけれども、どこに行こうとしているのかまったくわからない。今回でいえば、誰が何を解決することを期待すればいいのかがわからない。
数十人の捜査本部が「ウイルス供用および不正アクセス」について捜査をしていたはずなのに、結局ウイルスの出所を見つけたのは前回から急にハッカーとしての能力があることになった鑑識の杉田(泉澤祐希)だったし、その参考人として任意聴取を受けている西条が取調室から出られる条件も特に提示されていない。見張りが立っていると言っていたのに、好きなときに出てこれるし、出たら出たで足立さんに「戻れ」と言われている。
とりあえず謎として残っているのは、岡留さんの拳銃を奪って逃走中の2人の犯人の素性と目的、あとはウイルス入りのUSBメモリーを鑑識の島根課長の引き出しに入れた人物と、その目的。ここはまったく説明不足で見当のつけようがない。見当のつけようがない謎には興味をひかれません。ただただ不親切だなとしか思わない。
たぶん、作ってる側が「これは視聴者に伝わっているだろう」と思っていることと、実際に私たち視聴者に伝わっていることの間に、大きな差異が発生しているんだと思うんです。その差異に作り手が気づかないままどんどん勝手にお話を進めていくので、何を期待してドラマを見ればいいかわからなくなってる。