一年中見どころ溢れる京都。いつ訪れても四季折々の顔を見せ、訪れる人を楽しませてくれます。賑わう町の華やかさも京都の魅力のひとつですが、今回は少しだけ遠出して貴船神社と三千院を訪れ、静かで緑豊かな京都を発見してみませんか?

降雨・止雨を司る高龗神を祀る「貴船神社」

写真:ムラサキ

貴船といえば夏の川床が有名ですが、実は絵馬発祥の地でもあり、「願い事が叶う」神社としても多くの逸話のある場所なのです。

写真:ムラサキ

御祭神は水にまつわる神様である高龗神(たかおかみのかみ)。実は貴船神社の創建は非常に古く、少なくとも1300年前には御社殿の建て替えが行われていたという記録があることから、平安時代から続く神社なんだそう。

嵯峨天皇が日照りが続いた際には黒馬を、長雨が続いた際には白馬か赤馬を献じて降雨・止雨を祈念されたことがやがて絵馬の発祥につながったのだとか。

それ以外にも亀山上皇が国事多難の克服を、後奈良天皇が疫病流行による厄除け祈願など、凶作や天下大事の際には勅使を遣わし祈念を行っていたんだそうです。

本宮

写真:ムラサキ

御本宮には水の神様のご利益をということで、みず占みくじというものがあります。水に浮かべると次第に占い結果が浮かび上がるというもの。お参りのあとによろしければ運試ししてみてください。

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結社(ゆいのやしろ)

本宮と奥社の間にあることから「中宮(なかみや)」とも呼ばれています。有名な女流歌人・和泉式部が夫の心変わりに悩み、名歌を捧げて祈ったところ、その願いが果たされたということで「恋の宮」と称されることになったのだそう。

奥社

写真:ムラサキ
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本宮を出て結社を通り過ぎ、細い車道を更に山奥へと登って行くと、10分ほどで奥社にたどり着けます。もとは本宮があった場所に建っている奥社は、その本殿の真下に龍穴と呼ばれる大穴が開いていますが、誰も見ることは許されていないのだそうです。

また奥社には、「連理の杉」と呼ばれる御神木があります。普通は同種類の木々が重なって一つになることを言いますが、ここの連理の杉は、非常に珍しいことに、杉と楓が一つになったものです。

写真:ムラサキ

「連理」とは、もともと夫婦・男女の仲が睦まじいことを指す言葉でもありますので、縁結びの貴船神社にはぴったりの御神木ですね。

丑の刻詣り

実は貴船神社は、あの有名な「丑の刻詣り」ゆかりの場所。宇治の橋姫が丑の刻参りをして男に呪いをかけた…という話はあまりにも有名ですね。ただ、この丑の刻詣りは御祭神が国土豊潤のために丑年丑月丑日丑の刻に降臨されたと伝えられる故事によるもので、呪いに限らず、人々のあらゆる心願成就に通じるものであるそうです。

実際に、和泉式部の復縁や平實重(たいらのひろしげ)の蔵人昇任、源義経の源氏再興祈願など多様な心願が成就したと言われています。

貴船神社から三千院まではバスがおすすめ

貴船神社をお参りしたら、次は三千院へ向かいましょう。

あまり知られていませんが、貴船神社から三千院までの最短ルートは、実はバスなんです!一日に3本しか出ていないので事前に時刻表の確認が欠かせませんが、他のルートに比べても割安&早く行くことが出来ます!

①京都バス33系統:貴船~貴船口駅前(乗車時間5分程度)
②貴船口駅前でバスを乗り換え
③京都バス55系統:貴船口~大原(乗車時間25分程度)
④大原で下車後は徒歩10分ほどで三千院に到着

苔庭が美しい「三千院」

写真:ムラサキ

三千院は、8世紀後半~9世紀前半に最澄が比叡山東塔南谷に、一棟のお堂を構えたことから始まります。その後、慈覚大師円仁に引き継がれ、平安後期以降は皇子皇族が住持する宮門跡となりました。

またその寺地は、時代の流れとともに比叡山から近江坂本、京都内を幾度も移転し、その寺の名前も移り変わってきました。今の三千院と呼ばれるようになったのは明治4年から。明治維新以降は今の大原に移り、「三千院」として長い歴史を繋いでいます。

苔むす美しいお庭~聚碧園・有清園~

写真:ムラサキ

三千院の見どころといえば美しい苔庭。滑らかなビロードの絨毯のように庭いっぱいに広がる青苔に、杉や檜などが並びます。渓谷のような滝もあり、高木から差す陽光がきらきらと水面に反射する姿は、幻想的ですらあります。春には山桜にシャクナゲ、夏の新緑、秋の紅葉、そして冬の雪景色と、景色ごとにその色を変え訪れる人々を楽しませてくれます。

写真:ムラサキ
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