今大会、若きエース・ウェンバンヤマを擁して銀メダルを獲得したフランス相手に大金星を挙げるチャンスだったが、審判に泣かされる形となった。

 10日に行われたスポーツクライミング女子複合の決勝では、森秋彩が「勝負すらさせてもらえない」という一幕があった。

 第1課題の最初のホールドが高い位置に設定され、小柄な森が何度飛びついても手が届かなかったのだ。森は結局、制限時間内に最初のホールドに触ることさえできず、この課題の特典が0点に。必死に飛びつこうとする森の姿に、世界中から「ルートセッターの森に対するイジメだ」という批判が殺到することになった。

 体格による有利不利が大きいクライミング競技の国際大会ではしばしばルートセットの問題が浮上するが、決勝に残った選手が最初のホールドをつかめずに敗退するケースは異例中の異例。今後、ルールの改善が望まれるところだ。

 11日に行われた男子ケイリン準決勝では、太田海也が不可解な失格となっている。

 準決勝第2組で決勝ラインである3着に入った太田だったが、内側に寄せた際に2選手の落車を誘発したとして今大会2度目の警告を受け、失格処分に。太田は他車と接触しておらず、落車は太田の後方で起こったものだったが、日本チームの抗議もむなしく処分が覆ることはなかった。

 メダルラッシュに沸いた裏で、後味の悪い結果も決して少なくなかったパリ五輪。今は、選手たち全員に拍手を送りたい。