◆声を上げやすくするには?

――男女比が大きく女性の数が圧倒的に少ないこと、の弊害がここにもあるのですね。

理系女ちゃん:現在、理系アカデミアでは、女子率を増やそうという動きがあり、一例をあげると東京工業大学が昨年、奨学金に「女子学生枠」を創設し、奨学生の募集を開始することを発表しました。ですが、この「増やさなければならない」というプレッシャーから、ハラスメントを隠蔽してしまう機関もあるようです。

――議員でも管理職でも、女性の割合を増やそうというアファーマティブ・アクションは、「女性を優遇するのか」という反発を招きがちです。理系の大学や大学院では、そのようなことはないでしょうか?

理系女ちゃん:それについては現在、かなり議論が行われています。そのこともいつか漫画に描いて、掲載できればと考えております。

理系女ちゃん漫画
――『ハラスメントを告発した話』では、やはりハラスメントを受けた側、訴えた側が場を去ることになるのだと苦い気持ちにもなりました。

理系女ちゃん:教員や学内の相談室に訴えても聞き入れられない、という声が多いのが現状のように思います。教員側からするとハラスメントを理由に停学や退学といった処分を下すのは、よほどひどいケースでないかぎりむずかしいのかもしれません。

教員を対象としたハラスメント講習が各大学で設けられていますが、あまり効果的でないように感じています。セクハラにかぎらず、被害者側がどのような証拠を持っておくべきか、また学外も含めどこに相談するべきか、などの情報がもっと充実すると、少しでも被害者が救われるのではないでしょうか。