新元号「令和」を迎えた現在、「令和」の元となった万葉集がにわかに注目を集めています。そこで万葉集の歌ゆかりの土地を巡って万葉集の知識を深める大人女子の旅を提案します。全国各地に散らばる万葉歌碑や万葉集で詠まれた温泉、学びスポットを紹介します。
万葉集とは?
新しい「令和」という新元号は国民に新鮮さと爽やかな風を吹き込みました。
令和は日本の歴史において初めて漢籍からではなく国書の万葉集から選ばれた特別な元号と発表がありましたが、令和が引用されたのは万葉集序文で、序文は漢詩です。日本と中国、大きくはアジアの文化は切っても切り離せないですね。
そして今、令和の出典となった「万葉集」に注目が集まっています。
奈良時代の歌集
万葉集は奈良時代に編まれた現存する中で日本最古の歌集。今から1200年以上も昔に編纂されたものです。
次の平安時代には「古今和歌集」が編纂されましたが、国風文化の開花で平仮名が使われています。それに対し、万葉集は全て万葉仮名という漢字で書かれています。
様々な種類の和歌
万葉集が特別な意味を持つのは現存する最古の歌集というだけでなく、勅撰ではなく「身分を問わず自由に」歌を集めたという点にあります。
奈良時代といえば世界的に見ても厳しい身分制が敷かれていた時代。その中にあって身分を問わず歌を集めたというのはとても意義深いものではないでしょうか。
万葉集には4500以上の歌が集められており、中には方言の歌もあるなど歴史学的にみても非常に貴重な文献なのです。
【旅行スポット】万葉集ゆかりの地
新元号「令和」が万葉集が元になっていると発表されてから、万葉集に注目が集まり書店には万葉集関連の本が並び万葉集ゆかりの地には訪れる人が増えているそうです。
令和という新しい年を迎えるにあたって万葉集ゆかりの地へ足を運び、万葉集に想いを馳せるのも素敵な休日の過ごし方ですね。
万葉集にゆかりのある地は全国にたくさんありますが、まず、万葉集ができた当時に都であった奈良県から紹介していきます。奈良市内はもちろん、奈良県には郊外に行くといまでも万葉の香りがするような味わい深い場所が点在しています。
山辺の道【奈良】
JR桜井駅から2駅先の巻野内駅まで続く山道の古道が「山辺の道」と呼ばれます。駅前を少しすぎるとたちまち辺りは静かになり、「山辺の道」という小さな印を目印に進んでいくと山の方へと続く小道が顔を出します。
喧騒のない静かな山道は古代にトリップしたような不思議な感覚を抱きます。山辺の道ではたくさんの歌が残され、現代にあって神話を肌で感じられる特別な場所です。
藤原宮跡【奈良】
わずか16年という短さで奈良の平城京へ遷都となった藤原京は持統天皇によって中国の都城をモデルに建造された日本初の本格的な都城です。
畝傍山・耳成山・香久山の大和三山に囲まれたこの地では数々の歌が読まれ、万葉集には持統天皇が藤原京から見た風景を詠んだ歌も納められています。
かぎろひの丘【奈良】
かぎろひの丘は万葉公園とも呼ばれ、奈良県宇陀市にある小高い丘です。その昔この地域では宮中行事の一つである狩りや薬草摘みが行われており、柿本人麻呂もここで歌を残しています。
かぎろひの丘から見下ろす景色は都会のように高い建物がなく、悠久の時を感じられます。
吉野町【奈良】
吉野千本桜でも有名な吉野町は春になると花見客で溢れる観光地です。その折り重なる桜の風景は吉野全体をピンクに染め、美しく幻想的。
しかし奈良の昔にはここは人里離れた険しい山。険しく荘厳な山や木々の中を流れる美しい清流に古人はたくさんの歌を残しています。
明日香村【奈良】
明日香村は古墳があり、かつての都跡も残る日本の原風景。持統天皇が藤原京に都を移すまではここ飛鳥に都がありました。
都が藤原京に移ったあと人がいなくなった飛鳥のことを詠んだ歌がたくさん残り、静かな田園風景が広がるこの地にかつて都があったのかと感慨深く感じられます。
玉津島神社【和歌山】
玉津島神社は「和歌の神様」である衣通姫尊(そとおりひめのみこと)を祀る歌人の聖地。衣通姫尊は和歌に優れた絶世の美女だったそうです。
山部赤人が詠んだ歌「神代より然ぞ尊き玉津島山」が有名です。
万葉館【和歌山】
万葉館は万葉集にも登場する和歌浦にある万葉集の資料館です。近くには玉津島神社や万葉の小路という遊歩道があり、万葉集に想いを馳せながらゆっくりと海を眺めつつ散歩することができます。
万葉館にはパノラマのガラス窓が設置された展示室があり、そこからは当時の歌人が詠んだ風景を眺めることができます。
藤白坂【和歌山】
風光明媚な日本の原風景が広がる藤白坂は有間皇子が処刑された悲劇の地。亡き有間皇子のことを詠んだ悲しい歌に当時の政権争いに巻き込まれた皇子のことが偲ばれます。
JR海南駅周辺には有間皇子を祀った藤白神社などゆかりの地が点在していますが、藤白坂は山のほうへ入った熊野古道と重なる場所にあります。