◆お笑いファンは芸人を「自分たちのもの」

馬鹿よ貴方は 新道竜巳さん
馬鹿よ貴方は 新道竜巳さん
――YouTubeチャンネル『馬鹿よ貴方は、新道竜巳のごみラジオ』にて、ファン事情について数々の言及をしている新道さんは、長年にわたってお笑いシーンを見てきたライブ芸人さんの一人です。こんなにもお笑い界でファン論争が起こっている現状をどう考察していますか?

「お笑いファンって、もともと芸人を『自分たちのもの』と捉えている感覚が強いと思うんですよ。今は芸人側も情報発信が活発なので、劇場に足を運ぶことはカジュアル化してきていますけど、昔のお笑いライブっていうのは普通の生活をしていたらなかなかたどりつかないような場所だったわけですから。

特に小さい劇場に出ているような芸人であれば、物理的に距離がものすごく近いし親しみも感じやすいでしょうしね」

――なるほど。「お笑い芸人=他の芸能人よりも近しい存在」という考えが根底にあると。

「近年はコロナ禍もあって出待ちもできなくなったから、芸人とお笑いファンの直接的な距離は少し遠くなったかもしれないです。それでもライブに加えて、SNSや配信がある以上、テレビタレントよりはまだ身近なのでしょう。だからこそ、その分だけ芸人の変化に過剰な反応を示すことが多いんです」

――具体的にどのような反応があるのでしょうか。

「例えば、ライブでウケていたネタをブラッシュアップしてテレビに出演した場合、『なんでそういう改変をするの』と不快感を露わにするんです。芸人が出るメディアによって表現方法を変えることは当たり前のことなんですけどね」