パリ五輪が7月27日(現地時間)に開幕し、日本勢は大会1日目から女子柔道で金メダルを獲得。中継は各競技で高視聴率を記録し、内容次第ではテレビにもまだまだ人を引きつける力があることを示している。今回の開催地のパリとは7時間の時差があるため、テレビ局が重視する19時~23時のプライム帯と五輪中継が完全にバッティング。五輪中継できる局はウハウハだ。

「五輪中継は、日本人が勝ち進むか否か、競技がスケジュール通りに進むか、試合展開がハラハラドキドキするものになるかなど、条件次第で数字が大きく上下しますが、基本的に“化け物”。前回は開催地が東京ということもあり、開会式の視聴率が50%を超えたのを筆頭に、柔道、サッカー、卓球など20%超えの中継が相次ぎ、テレビ局はどこも大喜びでした。今回のパリ五輪でも、開会式は深夜未明から早朝にかけての放送だったにもかかわらず、視聴率は2ケタをマーク。バスケットやバレーボールなども早速、好視聴率を記録しています」(テレビ情報誌記者)

 ただ、表があれば裏もあるのが世の中。五輪が数字を稼げば、裏番組はその分、苦しむことになる。

「五輪の裏番組は基本的に“捨て試合”。数字が取れないことは目に見えているので、なるべく制作費を掛けずに枠を埋めることが求められます。ですから、人気番組は総集編でお茶を濁すか、放送をスキップして衝撃映像や単発の特番でしのぐのがオーソドックスなテクニック。手間や制作費がかかる生放送の音楽番組などはまずやりません。裏を返せば、五輪開催中も平常運行で放送される番組は、数字が期待されておらず、制作費もかかっていない番組だという見方もできます」(民放バラエティ番組制作関係者)

 確かに、負け戦になることが分かっている時間帯に手間や金をかける必要はあるまい。ただし例外はドラマである。こちらは続きものなので、休むわけにはいかないのだ。

「本当にシビアなのはドラマ関係者です。夏クールのドラマはまだ物語の序盤ですが、裏で五輪中継があれば、スタートから数字が削られることになる。序盤からつまずけば後半で盛り返すのは至難の業です。ドラマが成功するにはSNSが盛り上がることが絶対条件ですが、五輪の時期はトレンドワードも五輪関連の話題で埋め尽くされてしまう。ドラマを当てるには厳しすぎる条件が揃っています。しかし主演俳優は、そういった事情など一切関係なく数字で判断されてしまう。今クールでいうと、山田涼介が主演の『ビリオンスクール』(フジテレビ系)や、飯沼愛が主演の『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)あたりは初回から厳しい視聴率で、あまりに数字が落ち込むと、今後のキャリアにも影響しかねません。もっとも、出演者もそのあたりは織り込み済みでオファーを受けているわけで、言い訳はできませんが」(キー局関係者)