Peach Tree Rascals
カリフォルニア出身のポップ・バンド Peach Tree Rascals(ピーチ・ツリー・ラスカルズ)。プロデューサーのDom、ラッパー/シンガーのIssac、Tarrek、Joseph、そしてディレクターのJorge からなる同バンドは、2019年のセカンドシングル「mariposa」で多くの若者の共感を呼び、大ヒット。ストリーミング再生回数3.5億回を超え、全米オルタナティブ・ラジオ・チャートで1位を獲得した。そんな彼らは昨年、初の来日公演を敢行。この度、 tvgroove は単独インタビューをおこない、バンド結成についてや、来日時のファンとの触れ合いについて伺ってきた。
ーーまず、Peach Tree Rascalsというバンド名の由来と、バンド結成に至った経緯を教えてください。
Issac:ぼくたちはハイスクール時代に出会って、友達になった数日後にはみんなで音楽を作り始めたんだ。1年半くらいはリリースはせず、一般公開もしていなかった。そして、じゃあそろそろリリースしようとなった時、まだバンド名がなかったんだ。いろんな候補があった中で、JorgeがPeach Tree Villageという名前を提案した。でもぼくは「Villageはどうかな・・?」って思って、代わりにRascalsを付けたんだよ。
ーーどうしてVillage はイマイチだと思われたんでしょう?
Issac:バンド名を発言した時の滑らかさみたいなものが、イマイチだったんだ。Peach Tree Villageは、子ども向けのマンガみたいな印象だけど、Peach Tree Rascalsは、若者っぽい印象だからね。
ーー2019年の「mariposa」についてお伺いしたいです。ストリーミング再生回数が3.5億回越えですが、ヒットした時の心境はいかがでしたか。
Tarrek:想像以上に早かった。もちろん目標はあったんだけど、それが思ったよりも早く来たんだ。ファースト・シングルは2018年にリリースして、「mariposa」は翌年にリリースした。コロナのパンデミック中にバズって、その当時、ちょうどメンバーと一緒に住み始めたばかりだったんだ。フォロワーの数やMV再生回数が全部同時に上がっていったのを一緒に見ていて、すごく変な感じだったよ。こんなにも、とんとん拍子に進むとは思っていなかったからね。そして、もちろんとてもエキサイティングなことだったよ。
ーー「mariposa」について、Peach Tree Rascalsさん視点から、多くの人がこの楽曲に共感できた理由はなんだと思いますか。
Joseph:普遍的なラブストーリーなんだ。離れたところからある人に思いを寄せているけど、相手が自分のことを好きかどうかわからない。なんとなく日々を過ごしているんだけど、あることがキッカケとなり、結局は情事するという内容なんだ。
Issac:歌詞が抽象的だから、人生において、いろんなシチュエーションになぞらえることができたんだと思う。だから、いろんな年齢の人に共感してもらえたんじゃないかな。
Tarrek:コロナのパンデミック中にヒットした楽曲ではあるんだけど、歌詞が要因だったと思う。コロナ禍ではみんな離れ離れで、大好きな人とも距離を置きながらしか付き合うことができなかったシチュエーションだったからね。
ーー昨年の夏に来日してライブを行いましたね。これが初めての来日でしたか?来日時に驚いたことや感激したことなどはありましたか。
Dom:これが初来日で、とてもいい経験になった。ライブ中のファンのリアクションも静かで敬意を感じた。それがぼくたちにとっては、新しい感覚だったんだ。ライブの後にミーグリ(ミート&グリート)もあったんだけど、これもまた、アメリカとは違った印象を受けて、とても新鮮な経験だった。
Tarrek:日本のファンのみんなと会うのは初めてだった。絵を描いてきてくれたり、プレゼントやおもちゃ、手紙を持ってきてくれたりした。本当に美しい経験だったよ。初来日だったから、ファンがどういう反応をするのか、わからなかったんだ。でも今まで経験したことのないような「おもてなし」みたいなものを感じられて、それがすごくうれしかった。ミーグリには20〜30人くらい来たんだけど、すごくみんな喜んでくれて、泣いている人もいて、本当に美しい瞬間だったよ。多くの人にとって、自分の好きなアーティストがなかなか日本に来れないという状況が続いていたと思うんだけど、ぼくたちの場合も、数年前から音楽を始めて、それを聴いてくれていたファンから「やっとライブも見れた」という感動が伝わってきたんだ。
ーー来日時は短い滞在でしたか? もしくは、どこかを見たり観光することができましたか。
Joseph:ぼくたちは基本的にずっと東京にいたんだ。東京は見るものがたくさんあるからね。(ライブの)4日前に到着して、東京でできるだけのことを経験したいと思ったんだ。一番印象的だったのは食べ物だった。ぼくはずっと日本食が大好きだったから、日本でおいしいものを食べられてよかった。
Dom:とにかく歩き回ったよ。散歩をしながら日本を感じることができたのはとてもよかった。いろんな食べ物もすばらしかった。
ーー2月末に公開されたMV「Highwitcha」を拝見しました。ディレクター、編集も担当されていますね。またライブのグッズも自作しているとのことですが、音楽だけでなく「MVもグッズも自分たちでやろう!」となったキッカケはなんでしょうか。
Issac:結成した時、すべてバンド内で完結させようという話で始まった。「クリエイティブなことはすべて自分たちでやって、アウトソースしなくてもいい」というのが目標だった。Jorgeがビジュアル面に関すること、マーチャンダイズに関することを担当して、僕たちは音楽面のことを担当しているんだ。SNSに関してもアイディアは発案するけど、実際に投稿することや、機械に関することもすべて Jorgeが担当しているんだよ。
ーーマーチャンダイズに関しても、すべてJorgeさんが担当されているんですね。
Issac:Jorgeがデザイン担当で、ある会社と提携していて、イラストが出来上がったら、その会社がカタチにしていくんだ。
Tarrek:以前サン・ホセに住んでいた時に、Jorgeはある工場で働いていたんだ。そのつながりがあって、アイディアをもらったりディスカウントしてもらったりしていたんだよ。
ーー今月末には「Randezvous」がリリースされますが、この楽曲はどのようにして誕生したのでしょうか。また今後のプロジェクトについてもお話いただけたらと思います。
Joseph:「Randezvous」は今までとはまた違った楽曲になっているんだ。ソングライティングは非常に力強いものになっている。トラウマを抱えている人と付き合う中で、その人がトラウマを克服して、現在をうまく生きられるように・・という内容なんだ。
Issac:「Randezvous」は聴く人にはわかると思うけど、すごくエモーショナルなことが伝わってくると思う。今後に関しては、毎月一曲ずつ公開して、グッズも出していく予定だよ。MVに関しても色々と予定しているんだ。
Tarrek:「Randezvous」はとてもパワフルで、エモーショナルな歌詞になっている。Josephと Jorgeがものすごく心を込めて、今までとは比べものにならないくらいのシネマティックなMVになっているんだ。楽曲の持つパワーにマッチするくらいの愛情と細やかさを持ってビデオを作りたかった。楽曲の持つエモーショナルな部分をMVでも体験できるようになっているよ。
Joseph:MVは、カメラの前でただ演奏するというわけではなくて、見ている人にストーリーが伝わる内容になっている。このMVに関わったみんながそれぞれ、最大限の力を注いでくれたんだ。だからいいものに仕上がっているよ。
ーー最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
Issac:ずっとぼくたちの音楽を聴いてくれていてありがとう。また早く会いたい。今後もまた作品をいっぱい出す予定なんだ。愛してるよ。
Dom:また早く日本に戻りたい!
Tarrek:本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。久しぶりのリリースになってしまったことに申し訳なく思っている。でも、これからは毎月一曲発表するから、楽しみにしていてね。
Joseph:とにかく日本に早く戻りたい。前回はいろんな人に会うことができたから、またすぐにでも戻りたいと思っているよ。
(インタビュー終わり)
取材・文:齋藤彩加