◆「このままでは倒れてしまう」人に頼めることは頼むように

――危険信号だったわけですね。その後、どう解決されたのですか?

市毛:ちょっと冷静になり、人に頼めることは頼もうと思いました。そうでなければ、わたしも倒れてしまう。だからお願いするために、いろいろな人たちに会いました。近所の人との立ち話でも「何かあった時、誰か助けてくれる人いない?」みたいな感じで(笑)。

 見ず知らずの人にも何人も会いました。介護は当事者同士だけは行き詰ります。お互い命賭ける感じになってしまうので。自分だけでも社会とつながらないと思いました。

 それと、ちょうどわたし自身も仕事の過渡期で、年代が母役から祖母役に移り変わる時期でした。今まで順調に常にあった仕事が、ちょっとずつ変わっていくことをなんとなく実感していたので、わたしにも終わる時が来るなと思いました。

 なのでこのまま俳優だけだと自分の居場所がなくかるかも知れないと思い、60歳くらいの時に辞めようかと思ったんです。