いらだつ相楽の指示によって、文化祭の8日前にクラスで催す喫茶店の展示物や備品が破壊されるというトラブルになる。ちょうど有名人である瑞奈の通う高校が特定される週刊誌記事が出たことで、責任を問われる瑞奈。諦めムードが漂うなか、九条は、文化祭を崩壊しようとした人間たちに対して、このトラブルを意に介さず続行することこそ最大の抵抗になると説得。そして九条の「みんなの常識を覆してほしい」という発破に触発された瑞奈が初めて自分の思いをぶちまけ、瑞奈もまた一人の高校生として傷つくのだということが伝わり、D組はふたたび結束していった。
文化祭に不参加となった相楽たちをのぞき、D組がひとつのまとまり始めた第5話だが、重大な事実が判明した回でもあった。鵜久森もまた「2周目」との疑惑が浮上したのだ。備品が破壊されて諦めムードのクラスメイトを励ます際、鵜久森は「できるよ。今回はまだ1週間ある」と発言した。「今回は」ということは、すでにこのイベントを経験済みであるということに他ならない。このことに気づいた九条は、鵜久森が「2周目」ではないかと疑うことになる。しかし、だ。九条の1周目の人生で、鵜久森は「2023年5月23日」から不登校になる。鵜久森がこの世を去った日ははっきりしないが、一学期の始めに不登校になった鵜久森が、二学期に行われる文化祭のトラブルを把握できるものなのか。つまり、鵜久森は「2周目」ではなく、「3周目以降」の可能性もあるのではないだろうか。
いずれにせよ、気になるのが、やはり鵜久森の友人となった優等生・東風谷葵(當真あみ)だ。第1話では、東風谷が九条に内申表をどうにかしてほしいと訴えて去った後、鵜久森がすぐに駆けつけて「あの、東風谷さんどうかしたんですか?」と九条に確認し、東風谷の後ろ姿を目で追うなど妙に気にかけていたのだ。東風谷の公式プロフィールにあった「誰にも言えない悩み」とは、第5話ラストに飛び出した「私さ、もしかしたら……鵜久森さんのこと好きかもしれないんだ」という告白のことだろうが、鵜久森の表情からは当惑がうかがえた。鵜久森にとってこの告白が想定外のものであったならば、鵜久森はなぜ第1話で東風谷のことを気にかけていたのか。
九条の夫・蓮(松下洸平)もまた、文化祭に訪れた第5話では、鵜久森の顔を見てすぐに「もしかして、鵜久森さんですか?」と言い当てるなど不自然な部分があった。妻が「2周目」であることをすんなり受け止めた蓮も「1周目ではない」疑いがある。