テイラー・スウィフトテイラー・スウィフト

デビュー以来、人々が抱える様々な困難を代弁するかのような歌詞と耳に残るメロディーで世界中のファンの背中を押してきた歌手テイラー・スウィフト。ある男は、そんなテイラーの楽曲のおかげで何年もの牢獄生活を乗り越えることができたそうだ。

2009年に殺人罪で終身刑を言い渡されたジョー・ガルシア(53)は、判決を受ける直前に刑務所内で初めてテイラー・スウィフトの楽曲を耳にした。当時、ガルシアはテイラーの曲に感銘を受けず、代わりにプリンスといったアーティストを好んでいたという。

そんなガルシアは2013年、模範囚としてセキュリティの低い刑務所へと移送。そこで彼は、同じ監房に入っていた者と一緒に携帯用ラジオでトップ40のヒット曲を聴き始めたそうだ。

ガルシアは9月2日に発行されたザ・ニューヨーカー紙に「その間、私はスウィフトの4枚目のスタジオ・アルバム『Red』の曲をほぼ毎時間聴いた。それが楽しくなり始めてね。(ベッドの)上段に横たわり同房者のいびきを聞きながら、『We Are Never Ever Getting Back Together』がまた流れてくるのを待った」とつづっている。刑務所で毎日同じ生活を送るガルシアにとって、テイラーの楽曲は心の拠り所となっていたようだ。

ガルシアはこれらの曲が刑務所に訪問しにきてくれた恋人を含む過去の恋愛について考えさせれたと記している。また、テイラーの楽曲「Daylight」を聴いた際には自身の過去についてふり返った。同曲にてテイラーは「20年もの間、闇夜で長いこと眠っていたのに、今は日の光が見える」と歌っている。

「彼女の歌声には、直感的に心地よく、純粋で、良いもの、幸福や少なくとも幸福の可能性を暗示するものがあった。彼女の音楽を聴くと、私はまだ、自分が置き去りにした世界の一部なのだと感じた」

その後もガルシアは「1989」や「Lover」、「Midnights」とテイラーの音楽を聴き続けた。「Midnights」の収録曲「アンチ・ヒーロー」では、“自分こそが問題”だと歌う曲に自分自身を重ねてみることもあったという。

そんなガルシアは、今後数か月以内に、仮釈放されるかどうかが決まる仮釈放委員会に臨む予定だ。

「『カルマ』の中でスウィフトは、“私があれからずっと何を学んだか聞いてみて/私があの涙から得たものを聞いてみて”と歌っている。今から数か月後、カリフォルニアの仮釈放委員会は私にそのような質問を聞くだろう。私は何を学んだのか?20年の投獄を経て何を示さなければならないのか?」