自転車で日本一周549日目の若者が我が家を訪ねていらっしゃいました。

自宅のある山梨県甲斐市を出て、まずは北に上がっていき、北海道を巡り、

今度は、南は沖縄まで向かって走り、再び北に上っているところ。

自転車の両脇に詰め込んだ荷物からストイックさはにじみ出ているけれど、

4回、自転車を置いて公共機関で自宅に戻って身体を休めるなど、

決して無理はせず、マイペースで楽しみながら旅をしているんだろうなぁということは、お話をうかがっていて感じました。

いい顔をされていたなぁ。

驚いたことに1年半の旅の間でパンクを一度しかしていないこと。

私なんて東京から岐阜まで、たった4日間の自転車旅した時、2回もパンクしたんですよね。

「岐阜から東京まで歩いて行かれたんですよね?」

10年前の私の歩行旅の話にも。

楽しかったし、苦しかったし、人の出会いもあり、2週間ほどの濃い旅でした。

そう考えると彼の1年半以上の旅なんて、あふれるほどの経験が身についているのでしょう。

使い古された言葉で、あまり安易に使いたくはないけれど、彼のような人に出会うと「プライスレス」という言葉が頭に浮かびます。

おそらく彼も旅に出る決断をした時、高揚感だけではなく、不安感もあったと思います。

周囲から就職、結婚など、世間一般の「普通」という言葉も投げかけられたでしょう。

でも、旅の後の人生で見える社会の景色、物事に対する考え方に少なからず影響を与えると思います。

少なくとも私はそうでした。

彼は、この後、中津川を抜け、長野、群馬、東京、そして山梨県の自宅に戻っていく予定なのだとか。

この後も、よき旅になることを祈っています。<text:イシコ>