日本コンベンションサービス(JCS)は、イベント開催時に余った弁当を「こども食堂」に届け、食事を必要としている人に食べてもらう、食品ロス問題に取り組む実証実験を8月に実施した。

「こども食堂」と連携し食品ロス問題に取り組む

「こども食堂」と連携し食品ロス問題に取り組む実証実験では、都内2カ所のこども食堂と連携し、JCSが西武リアルティソリューションズと共同運営するカンファレンス施設「紀尾井カンファレンス」で開催された会議の昼食提供が終了した後、未開封の弁当をこども食堂に配送し、利用者に提供した。

国際会議や大型イベントの開催にあたっては、参加者のための食事手配が必要となる一方で、当日キャンセル等に伴うフードウェイスト(食品ロス)の発生が課題となっている。主な原因としては、当日キャンセルにより参加者数が予定していた人数を下回ることや、弁当の不足を避けるために注文数量自体が多くなりやすいといった事情がある。

2カ所のこども食堂に弁当を届けた

JCSでは2022年9月にプロジェクトの検討を開始。こども食堂側のニーズ調査や、弁当会社との調整、食品の安全管理のための保管・輸送プロセスの構築、食品衛生検査など、準備を進めてきた。

こども食堂との連携にあたっては、全国こども食堂支援センター・むすびえ(むすびえ)の協力のもと説明会を実施。

応募があった団体の中から、「こども食堂 がるまる」「子ども村ホッとステーション」の2カ所のこども食堂を今回の協力先として選定し、弁当を届けた。

プロジェクトの本格実施を目指す

JCSでは「こども食堂」と連携し食品ロス問題に取り組む実証実験の結果を踏まえ、今年度中を目途にプロジェクトの本格実施を目指し、商品提供に向けた準備を進めていくという。


「こども食堂」と連携し食品ロス問題に取り組む実証実験当日は、紀尾井カンファレンスで午前中に開催された会議で、昼食用の弁当を実際に提供した。弁当には同実証実験の概要を書いたカードを添え、食べてもらう会議参加者にも趣旨がわかりやすく伝わるよう配慮した。

会議の参加者からは「子どもたちに対する意義が感じられ、共感できた」「プライベートでも買いたくなるようなお弁当だった」「やさしい味付けで大人も子どもも美味しく食べられる」といった感想が寄せられたそうだ。



こども食堂へ届ける弁当は、輸送用のクーラーボックス内に、保冷剤と測定ログ機能付きの温湿度計とともに保管。安全性に配慮し、低温で管理するとともに、保管温度の異常があれば目で見てすぐに気づくことのできる環境をつくったうえで、こども食堂へ輸送した。



こども食堂では、到着した弁当を仕分けし、会食形式で利用者が食べた。弁当を食べた家族からは「普段は揃えることが難しい食材もあり、ここまで野菜が豊富だとは思わなかった。お肉もあり、子どもも好んで食べていた」「たくさん量があり、食べ盛りの子どもにはちょうどいい」、子どもからは「魚の大きさにびっくりした。お肉も美味しかった」といった声があがったという。

身近なところから食品ロス問題に取り組むJCSの今後に注目しよう。

■実証実験概要
提供数:4種類 合計20食
提供先:「こども食堂 がるまる」10食「子ども村ホッとステーション」10食
日本コンベンションサービス公式サイト:https://www.convention.co.jp/

(角谷良平)