兵庫県養父市明延(あけのべ)では、錫鉱山の町のシンボル・小林たばこ屋を共に再生する仲間として、地域起こし遠隔隊を募集している。この地域おこし遠隔隊のオンライン説明会が、8月16日(金)に実施される。

兵庫県養父市明延について

明延の1,300年の歴史を持つ明延鉱山は、古くは奈良時代から、東大寺の大仏鋳造の際に産出した銅を献上したと伝えられている。1909年に錫(すず)鉱脈が発見され、アジアを代表する規模の錫鉱山として発展した。

最盛期の中心部には、病院や購買会、娯楽館や協和会館など、従業員のために作られた施設のほか、電気店や飲食店理髪店などの個人商店もあった。当時の鉱山関係の人口は4,123人にものぼっている。

しかし、1985年のプラザ合意後の急激な円高に伴う銅、亜鉛、錫の市況の下落により、採算が合わなくなり、1987年1月31日23:20の発破を最後に、採掘を停止。同年3月閉山となった。

閉山後は高齢化が進行し限界集落となっている一方、この地区には探検坑道や一円電車など、鉱山の歴史を伝える観光資源が豊富にあり、外の地域からの来訪者は微増している状態だ。

小林たばこ屋再生への取り組み


明延ではこれまでに、明延区や「鉱石の道」明延実行委員会、大学生が中心となり、一円電車の復活や、鉱山従事者が住んでいた社宅のコミュニティスペースとしての再生など、


観光化やコミュニティづくりに取り組んでいる。


そんな鉱山の町明延には、かつての町の賑わっていた時代から変わらず人々を魅了し続ける一軒のたばこ屋・小林たばこ屋がある。

小林たばこ屋は多くの人の記憶に残る地域のシンボル的存在であり、最近では、左官技術を駆使した珍しい龍の立体看板がSNSで話題となり、全国の建築好きや今まで明延を知らなかった人たちまでも惹きつけている。

そんな歴史のある小林たばこ屋をなんとしても残したいという強い想いから明延区、但馬を結んで育つ会、養父市社会福祉協議会、コミュニティデザインラボがタッグを組んで、小林たばこ屋の再生に取り組んでいる。

小林たばこ屋再生の取り組みは、小林たばこ屋を「地域に住む人々同士の交流拠点」と「外の人との交流拠点」という2面的に再生させ、多面的で多様な人々が新たなつながりを生むプラットフォームとして創出するもの。

そして、この取り組みを実現させるには、全国の多様な人々のアイデアや力が必要だと考え、住んでいる地域に関係なく、このプロジェクトに興味を持ち、面白がってくれる人に関わってほしい。そんな想いから、全国どこからでも小林たばこ屋の再生に関わることのできる仕組みを考えた。それが、地域おこし遠隔隊だ。