夫婦がともに生活していく上で、どちらかが「専業主婦(夫)」となるか、「共働き」かによって、家計の管理や生活バランスは異なるもの。前者は仕事と家事を分担しやすいのが一般的なのに対し、後者はこのバランスを夫婦でコントロールしていく必要があるでしょう。上手な「共働き」を実現するため、家計はもちろん普段からどのようなことを心がければいいのか、考えてみましょう。
目次
- 「専業主婦」と「共働き」は逆転!
- 意外と貯まらない夫婦別財布?共働き家計の課題と解決ポイント
- 共働き生活をよりよくするために検討したいこと
- 共働きのメリットも考えよう
- 2人の時間を確保することも忘れずに
「専業主婦」と「共働き」は逆転!
独立行政法人労働政策研究・研修機構がまとめた長期労働統計によると、(2019年時点)妻が非就業者の「専業主婦世帯」は約575万世帯であるのに対し、夫婦ともに雇用者である「共働き世帯」は約1,245万世帯となっています(いずれも非農林業雇用者)。
同統計の1980年時点では、専業主婦世帯は1,114万世帯、共働き世帯は614万世帯で、ほぼ逆転しており、近年は「共働き」が多数派・主流であると言えるでしょう。
一方で、株式会社マイナビが2020年に就職予定の大学生・大学院生を対象として2018年に行った意識調査では、「結婚後に共働きを希望する割合」は男子49.5%、女子70.8%となっています。2016年に就職予定の学生を対象とした調査から継続して男子50%前後、女子70%前後という割合をキープしており、これからの社会を担う若い世代も「共働き」には意欲的な印象です。
共働き世帯は、いくら貯めている?
「共働き」の家計をチェックするにあたって、専業主婦(夫)世帯と共働き世帯の貯蓄額をチェックしてみましょう。
金融広報中央委員会が2019年に行った「家計の金融行動に関する世論調査」における、各世帯の金融資産保有額(中央値)は以下の通りです。
- ここでは金融資産保有額を貯蓄額の参考とします
- 世帯主の年齢は20~70歳以上
世帯主のみ就業(専業主婦(夫)世帯):330万円
世帯主と配偶者のみ就業(共働き世帯):485万円
雇用形態や子どもの有無によっては、生活にかかる費用とそれにともなう貯蓄も異なってきますが、共働き世帯のほうが専業主婦(夫)世帯よりも若干高いことがわかります。
一方で「収入源が2つあるから貯蓄も2倍!」というわけにはいかず、この数字は「意外に低い」と感じる人も多いかもしれません。
意外と貯まらない夫婦別財布?共働き家計の課題と解決ポイント
では、共働き世帯における家計の課題には、具体的にどんなものがあるでしょうか。
夫婦のお金の管理・貯蓄アプリ「OsidOri(オシドリ)」を提供する株式会社OsidOriが2019年に行った夫婦の家計調査(全国の25~39歳の既婚または婚約済みの女性約800人が対象)によると、家計管理について共働き世帯の半数が、自分のお金と家庭に入れるお金を別々に管理する「分担制」と答えました。
いわゆる「夫婦別財布」のことで、共有口座にお金を入れあうほか、家賃や食費など生活にかかる費用をお互いに分担して支出し、残ったお金はそれぞれの自由としていることが多いでしょう。
“自分が稼いだお金”を自由にできる反面、家計全体の収支が見えにくく、専業主婦(夫)世帯と比べて収入が多くあったとしても、なかなか貯蓄できないという状態を作ってしまうわけです。また、お互いに「お金の話」をしにくくなり、将来に不安を感じる場合もあるでしょう。
そこで「共働き」における家計やお金の面において、留意すべきポイントを考えてみましょう。
「理想の暮らし」を切り口に、お金の話に向きあおう
夫婦できちんと「お金の話」をしたほうがいいとはわかっていても、いきなり実行面から話をするのは難しいと考える人も多いでしょう。これまであまり話すことがなかったのなら、なおさらです。
そこで「理想の住まい」や「老後の暮らし」「子どもの教育方針」といった生活や将来のイメージから会話をスタートしてみましょう。そこから具体的に、何年後にいくら必要かを計算・計画し、具体的な貯蓄の目標へと話を移していけるといいですね。
目標を立てられれば、お互いのコスト意識も変わってくるはずです。教育費の準備や住宅ローンの返済、老後資金の準備など……逆に、目標がないと実行するのは難しいものです。もちろん目標に向けての計画は、夫婦の共通認識のもとに立てるようにしましょう。
また計画を立てても、年齢を重ねることでお互いの「収入」や「働き方」が変化していく可能性もあります。一度決めた計画に固執するのではなく、状況に合わせて柔軟に調整することも重要です。
税金対策をしっかりと活用
共働き世帯と専業主婦(夫)世帯で世帯年収が同じ金額の場合、一般的に共働き世帯のほうが、かかる税金を抑えることができます。
たとえば世帯年収が800万円の場合、夫が800万円の年収であるのに対し、夫婦それぞれが400万円の場合には所得税、住民税が少なくなります。これは、日本の税制度が個人の所得が高くなるほど税金が高くなる仕組みのためです。
そういった意味では、「共働き」自体がひとつの節税であるとも言えるでしょう。そこからさらに、マイホーム購入を検討しているなら夫婦で「住宅ローン」を組んだり、一般的な節税として「ふるさと納税」「各種保険商品」「iDeCo(イデコ)」を活用したりと、税制改正などに伴いしっかりと検討していきましょう。
たとえば住宅ローンは、夫妻でローン(ペアローン)を組むか、「フラット35」(全国300以上の金融機関が住宅金融支援機構と提携して扱う「全期間固定金利型住宅ローン」 )のように連帯債務という形でローンを組むことで、「住宅ローン控除」をそれぞれ受けることができますよ。
夫婦ともに収入がある分、各自が家計についてきちんと考え、二人三脚で資産形成に取り組んでいくことが大切です。
共働き生活をよりよくするために検討したいこと
上手な「共働き」を実現するためのポイントは、家計の管理だけではありません。ここからは共働きをうまく続けるための心がけについて考えてみましょう。
“家事をどうするか問題”に、きちんと向き合う
夫婦ともに働いているにも関わらずどちらか一方に家事の負担がかたよる、とくに妻の側に家事の負担が大きいケースが多く見られるようです。これは「夫である自分のほうが収入を多く得ているのだから、妻が家事育児を多く分担するのが合理的だ」という価値観からきているようです。
夫婦がお互いにその考え方に納得しているのであれば問題はありませんが、男女における賃金格差は社会全体の課題でもあるでしょう。
「共働き」である以上、収入や労働時間にとらわれず家事や育児も仕事であると考え、“共に分担すること”を前提に夫婦でよく話し合ってみましょう。
お互いの考えや気持ちをきちんと伝える
夫婦でお金の話をしにくいのと同じく、家事の分担についてもきちんと話しあわれていないケースは少なくありません。お互いが働き、多忙であるからこそ「言わなくてもわかってほしい」というのはとくに難しいものです。
顔を合わせて必要なことを伝えるのはもちろん、普段の何気ないあいさつや、ちょっとした気持ちを言葉にするなど夫婦間のコミュニケーションを心がけ、“相手を意識している”と示すことも大切です。
その上で、家事の分担についても話し合っていきましょう。分担をする前に「食事」や「洗濯」「掃除」などを各自で取り組む日を設けてもいいでしょう。どれくらいの手間や時間がかかっているか実感できるほか、お互いが得意な家事を担当するきっかけになりますし、不得意な家事を相手が担ってくれることに感謝の気持ちを持つこともできるでしょう。
実家暮らしも検討してみよう
夫婦どちらかの実家に暮らすことは、ハードルが高く感じられるかもしれませんが、とくに子どものいる夫婦は親とともに暮らすという選択肢も検討してみましょう。
ストレスや生活の制限が多くなると考える人もいますが、たとえば住宅購入の負担を減らせたり、生活に対するサポートを受けやすかったりとメリットも多くあるはずです。どちらのほうが自分たちの生活に適しているか考えてみましょう。
「共働き」のメリットも考えよう
「共働き」のメリットとは何でしょうか。たとえば、夫または妻のどちらかが収入のために働くというカタチになると、“家事をする側”は仕事に対する理解が深まりにくく、“仕事をする側”は家事に対する感謝の気持ちを持ちにくいこともあるでしょう。
お互いが働きながら家事も担当することで、(仕事と家事)両方の苦労や難しさ、楽しさや喜びを理解することができるはずです。
また、働くことで仕事を通しての人間関係が形成されます。結婚をして夫婦仲良く暮らすことは理想的ですが、夫婦といえどもお互いに足並みを揃えて暮らしていくのは簡単なことではありません。誰しも、少なからずストレスを感じたり、ときには苛立ったりすることもあるでしょう。
そんなとき、家庭以外のコミュニティに属していれば気分転換することができ、あらためてお互いの大切さを感じることができるかもしれませんね。
2人の時間を確保することも忘れずに
「共働き」でもう1つ大切にしたいことは、時間の確保です。
お互いが仕事をがんばり、家事もこなし、さらに育児が増えるとなればコミュニケーションがとりにくくなるのは、ある意味当然とも言えるでしょう。そのようなときに、例えば両親に手助けしてもらうほか、ベビーシッターや民間の家事代行サービスなどを利用するなど、ときにはお金をかけて2人で過ごす時間を確保することも重要です。
そうして生まれた時間の中で、お互いの理解と感謝の気持ちを深め、よりよい「共働き」を実現していきたいですね。
提供・UpU
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