アンドレ・ブルトン《アンドレ・ブルトンのアトリエの壁》、サルバドール・ダリ《ロブスター・テレフォン》、ルネ・マグリッド《貫かれた時間》

シュルレアリスム宣言から100年。フランス・パリのポンピドゥセンターから出版された「シュルレアリスム ポップアップ」の日本語版が、美術書出版社の求龍堂から発売された。

祝!シュルレアリスム宣言から100年


著名なフランスのイラストレーターであり、ポップアップブック(飛び出す絵本)のスペシャリストであるジェラール・ロ・モナコ氏は、詩人アンドレ・ブルトンのシュルレアリスム宣言から100年を記念し、シュルレアリスムを象徴する作品を仕掛けページに盛り込んだ、詩的なポップアップブックを考案。

同書はフランス・パリのポンピドゥセンターから出版され、この度日本語版が初登場した。

「シュルレアリスム ポップアップ」(著/ジェラール・ロ・モナコ)は日仏併記。価格は3,960円(税込)。A5判変型、上製本(ケース付)、21頁(図版16点)となっている。

幻想的な世界へ誘う飛び出す絵本

この飛び出す絵本の世界は、シュルレアリスムの主要な作品のヒントになるモチーフたちがウインドウにずらりと並ぶギャラリーの扉が開き、読者を招くところから始まる。誘いにのってページを開くと、サルバドール・ダリの電話の上にロブスターや、ヴィクトル・ブローネルの狼テーブルが飛び出す。

マン・レイ《不滅のオブジェ》

ジャン・アルプの美しい彫刻、マン・レイの《不滅のオブジェ》も小粋な動きを見せ、ジョゼフ・コーネル、ドラ・マール、ルネ・マグリット、アンドレ・ブルトンなど、シュルレアリスムのオールスター作品が読者の手によって動き出し、幻想的な世界へと誘う。

アンドレ・ブルトン《アンドレ・ブルトンのアトリエの壁》

オブジェとしても楽しめるので、好きなところを開いてインテリアにするのもおすすめ。フランス的センスに溢れた、大人の知的好奇心をくすぐるアート仕掛け絵本になっている。

美術館の出版物らしく、巻末には実際の作品画像とともに、作品情報としっかりとした解説も掲載。自分用にも、アート好きな人へのギフトにもぴったりだ。

ジェラール・ロ・モナコ氏について

ジェラール・ロ・モナコ氏は、作家、ペーパーエンジニア、グラフィックデザイナー、イラストレーター、アートディレクター、セットデザイナーなど、マルチな才能を持つアーティスト。『マジックサーカス』『鉄の檻』『鉄道』『海の旅』『モビーディック』『星の王子さま』『ソニア・ドローネ夫人』など、国際的なポップアップブック制作を多く手掛ける、その分野の実力派だ。

美術館や博物館とのコラボレーションも多く、ラジオ会館での「ポップアップ・シンフォニー」、韓国のハンガラム美術館での「ピノキオ」など、おもちゃのコレクションや展覧会のシナリオも手掛けている。

ドラ・マール《無題(手・貝)》

シュルレアリスムを代表する巨匠8人の名作が飛び出す「シュルレアリスム ポップアップ」の日本語版を手に取ってみては。

書籍購入:https://www.kyuryudo.co.jp

(さえきそうすけ)