2020年9月16日、新しい内閣総理大臣に菅義偉氏が就任しました。こうしたタイミングに注目されるのが、新総理の政策についての言及です。新しい政策で力を入れる分野に関して、大きな株価の変動が見込まれる「国策銘柄」として注目すべきとも言えます。この記事では「国策に売りなし」という相場格言の意味と、菅首相が公言している政策、それに関わる関連銘柄の領域をチェックしてみましょう。

格言「国策に売りなし」とは

これは「国の政策に関連した業種・分野の銘柄は購入すべき」という意味の相場格言です。

国がある政策を取り入れた場合、その政策に関連する業種では、規制の緩和・撤廃などビジネスを行う上で有利となるできごとが生じるとされています。その業種でビジネスを行う企業は業績が伸びやすく、結果的に投資家が株をたくさん購入し、値上がりする可能性が高いわけです。

つまり、「国の政策に関連した分野では全体的に業績が伸びやすい(≒株価が上がりやすい)から、値上がりする前に購入しておくべき」というのが、「国策に売りなし」の意味です。

過去にはどのような国策銘柄があったのか?

これまでにはどのような国策銘柄があったのでしょうか?ここでは過去に進められた国策と、それに関連してどのような業界に変動があったかを解説します。

2013年 国土強靱化

国土強靱化とは、大規模な自然災害などに備えて防災や減災、迅速な復旧・復興につながる施策に国全体で取り組んでいくことを意味します。2013年12月に国土強靱化基本法が成立して以来、災害の度に関連する銘柄が大きな注目を集めています。

国土強靱化で最も株価の上昇を見せているのは建設業界です。相次ぐ自然災害の影響で、国・政府はよりいっそう国土強靱化に向けた政策を強化しています。今後も国土強靱化に関連した銘柄には注目すべきでしょう。

2015年 マイナンバー

2015年10月に始まったマイナンバー制度も関連する銘柄に大きな影響を与えています。マイナンバー制度では、主にマイナンバーに関連したサービスを提供するIT系企業を中心に、株価の変動が見られます。

例えば、2019年9月に政府がマイナポイントの導入を表明したことで、マイナポイントの利用促進などを手がける数社の株価が大きく上昇しました。

2016年 電力自由化

これまで日本の電力事業は、10社の地域電力会社によって独占されてきましたが、2016年4月に電力の小売全面自由化が開始され、さまざまな事業者が電気の小売事業(市場)に参入することで競争が活性化しました。

電気小売に新規参入した企業の銘柄はもちろん、スマートグリッド(次世代送電網)関連の銘柄、バイオマスや太陽光発電の関連銘柄にも注目が集まり、幅広い業界で期待感が高まりました。