仕事上のやりとりの中で言葉遣いは大変重要です。
仕事で未熟な部分があった際に「至らない点」と表現して謙遜する場合がありますが、正確にはどう使ったら良いのでしょうか?間違った表現で謝罪しては火に油を注ぐことも。「至らない点」の意味と使い方を見ていきましょう。
至らない点の意味とは?
至らない点の意味とは
① 配慮が十分ではない
② 未熟である
③ 注意不足
などになります。
この言葉は【至らない】と【点】の2つの言葉からできています。
【至らない】の意味は、○○に対して配慮が十分ではなかった、○○に対して未熟であった、○○に対して注意不足だったという意味があり、
【点】は部分や位置という意味があり、この2つの言葉を合わせると【至らない点】となり、
①配慮が十分ではない部分があった、
②未熟な点や部分があった
③注意不足な点があった
となります。
どのような時に【至らない点を】を使えばいいのか?
至らない点とは謝罪の言葉とあいさつの言葉、両方の場面で使うことができます。
どちらの場合も最後の結びの言葉として使用します。
謝罪の言葉としては、主に仕事で使われることが多いです。
仕事でミスをしてしまい上司や先輩などに迷惑をかけてしまった時や、取引先への謝罪などに使います。
その他に一般的なあいさつの言葉や結婚式のスピーチや新しい職場でのあいさつ、仕事でお世話なっている上司や先輩、取引先の方に新年のあいさつとして送る年賀状などに使います。
【至らない点】の他に【至らぬ点】という言い方もありますが、どちらが正しいということはなく、両方とも丁寧な表現を表す言葉なので、どちらを使っても問題はありません。
至らない点とは【謙譲語】
至らない点とは謙譲語(けんじょうご)になり謙遜語(けんそんご)と言われることもあります。謙譲語とは自分の価値や能力を低く評価し、相手に敬意を表し控えめに振る舞うときに使います。
類義語に【卑下】がありますが、卑下とは自分を低く評価することは【謙譲語】と同じですが、この他に自分を卑しめ見下すという意味もあるので謝罪やあいさつの場面では相応しい言葉ではありません。
このような言葉の意味から【至らない点】は謝罪文、あいさつの結びの言葉、メールでの結びの言葉として使うと相手に対して真面目で丁寧な印象を与えることができます。
謙譲語は敬語
敬語には大きく分けて
①尊敬語 「相手の行為や人物に敬意を表す言葉」
②謙譲語 「相手に敬意を表し、自分を低く控えめに表す言葉」
③丁寧語 「相手に対し丁寧に表す言葉」
この3つがあります。
敬語を使った話し方の例
「言う・話す」は
①尊敬語 「おっしゃる」
②謙譲語 「申し上げる・申す」
③丁寧語 「言います・話します」
「する」は
①尊敬語 「なさる・される」
②謙譲語 「いたす」
③丁寧語 「します」
「行く・来る」は
①尊敬語 「いらっしゃる・お見えになる」
②謙譲語 「伺う・参る」
③丁寧語 「行きます・来ます」
社会人になると言葉遣いも大切なマナーのひとつになります。
敬語は話す相手や場面によっても使い方が変わってきますが、使えるようになると相手に敬意を表す気持ちが伝わるようになります。
【至らない点】の使い方の注意点
謝罪やあいさつなど色々な場面で使用する【至らない点】ですが、何でもこの言葉を使用すれば良いということはありません。
自分を低く評価し控えめに振る舞うという意味があることから、あいさつやスピーチなどでは問題なく使うことができますが、仕事での謝罪の場面では使い方に注意が必要になります。
配慮が十分ではない部分があった、未熟な点や部分があった、注意不足な点があったなどの意味があることから、相手に多大な迷惑をかけてしまったときの【至らない点】は謝罪の言葉としては相応しくありません。
取引先などに対しての【至らない点】を使うとき
仕事上で相手に重大な迷惑、損失を与えてしまったときに、すぐに【至らない点】を使うと反省していないのではないか?という印象を与えてしまうことがあります。
多大な迷惑や損失を与えてしまったときには、まず謝罪文を作成しましょう。
謝罪文とはお詫び状とも呼ばれ、個人のお客様や取引先に対して謝罪の意を表す文章です。
このような重大な場面では【至らない点】を使うことはお勧めできません。