◆「知らない」で済ませていいのかな
――資格を取ろうと思ったきっかけは何だったのですか?
鳥居:私自身は発達障害について特に何とも思ってなかったんです。でも『でこぼこポン!』に出るようになって、この番組が発達障害や発達障害のグレーゾーン(発達障害の特徴がいくつか見られるが確定診断できない状態)の子ども向けだと知っている人から、発達障害に関する質問をされることが多くなりました。
――どんなことを聞かれることが多かったですか?
鳥居:「うちの子が●歳なのに全然喋らない」とか、「何歳まで見守ればいいのかな?」とかですね。「いやいや、私は演じているだけだから分からないよ」と思ってました。
でも、その人にとって大事なことを話してくれているわけじゃないですか。それなのに、「分からない」と答えるのって簡単だな、「もしかしたら軽く扱ってしまうことで相手を不用意に傷つけているかもしれない」と思うようになりました。それなら、納得できる答えは出せなくても、相手の心が何となく落ち着くような回答ができたらいいなと思って、資格の勉強を始めることにしたんです。
――番組では、「でこりん」役として、発達障害の子どもが感じているような、さまざまな困りごとに直面したときの様子を演じられていますね。
鳥居:私が「でこりん」としてやっていることは嘘ではないんですけど、心から理解してやれていたかというと、当初は「自分もこんなところがあるなあ」くらいの認識しかありませんでした。演者としてはそれでもいいんですが、発達障害の当事者の子どもたちや、親御さんたちの大変さをもっと理解したいから勉強を始めたというのもあります。