クリスチャン・ルブタン氏といえば、赤いソールが印象的なフランスの靴デザイナー。そんな彼の30年に渡るキャリアを紐解く個展がパリで開催されました。
ルブタンにとってフランス初となる個展。楽しみにしていた記念となる個展だったので、ロックダウン前に行ってきました。前回の『Harper’s Bazaar展』に引き続き、会場の様子をレポートします。
会場はルブタン縁の宮殿
展覧会が開催されている場所は、パリ東部・ヴァンセンヌの森に接するポルト・ドレ宮。1931年に建造され、その後アフリカ&オセアニア博物館だったアール・デコ様式が魅力的な建物です。この近くに住んでいたルブタン少年は、ここによく通っては多民族文化に触れたり、水族館によく足を運んでいたそう。彼はこの宮殿を自身初の個展の場として選びました。
展覧会場に入るとまず展覧会タイトルが目に飛び込んできます。それは2つの言葉を掛け合わせたユニークなもの。「ただの展覧会(Exhibition)ではなく、もっと(Niste)!」というクリスチャン・ルブタン氏の想いが詰まったタイトルに期待が高まります!
プロローグ部分では、部屋中を埋め尽くす真っ赤な木型がお出迎え。すごい迫力です!その後「はじめに、よくこのデッサンがある。そして、すべてがこのデッサンから始まったんだ…」と書かれた看板がありました。
かつてこの宮殿のエントランスに置かれていた看板だそうで、ルブタン少年には大変印象的だったとか。これがきっかけで、彼は靴の世界に入っていくのです。
驚きの素材も!ルブタンの作品ヒストリー
最初の空間は、『Early Years.』。 初期の歴史に残る作品を見ることができます。この部屋を囲むステンドグラスは、今回のために技術力の高い職人に特注で作ってもらったもの。モチーフの靴がまるで女神のように描かれています。
こちらは1987年に製作されたルブタンの歴史の幕開けとなる作品。本物の鯖の皮で作られ、作品ポートレートは水族館で撮影されたというエピソードが!
これは1991年秋冬に初コレクションとして発表された『LOVE』。「VOGUE」でセンセーショナルに取り上げられました。フラットなのにインパクトがあってとても綺麗ですね。
1993年の作品『Pensée (すみれ)』は、ポップアートにインスパイアされて生まれたもの。歩くとヒールですみれ形が刻まれるというユニークな仕掛けが。この時から赤色のソールが登場しました。
シューズ界のエポックメイキングとなったルブタンの功績
ルブタンといえば美しいピンヒール。この展示は「どのサイズの靴も同じ影(シルエット)にならなければ、それは完璧な美ではない」とさまざまなサイズの靴を影絵で表現しています。
そしてルブタンの代名詞である、世界的に有名な真っ赤なソール。赤いライティングで妖艶な演出がされていました。
2006年にヌードカラーの靴を発表したルブタン。肌色に近いベージュのヒールを採用することで足が長くなることを提案しましたが、人の肌色はいろいろあることに気づき、5色展開としたことで話題を呼んだそうです。
映画界の奇才ともコラボレーション!
私がとても気に入ったコーナーが『アトリエ』です。ルブタン本人が小人となり、100近くもある靴作りの工程を、高い技術を持った職人とコラボしていく様子をユーモア溢れる画像で説明しています。本当にかわいくておもしろくて、何度も見直してしまいました。
こちらは靴作りの第1ステップ。素材を立体から平面にし、素材を切っていく作業です。
パーツを切ったら革とサテン地を縫い合わせていきます。そこにも、ルブタン氏の影なる努力が垣間見れました。
『アトリエ』が終わると、次は『歩くだけではないヒールの存在』の展示コーナーへ。多様でアーティスティックなアプローチが、ちょっとセクシーに展開していきます。
なかには映画監督デヴィッド・リンチとのコラボで撮影された写真の展示もありました。歩くための道具だけでない靴の魅力が、アート作品としてたくさん紹介されています。
バイオグラフィーコーナーでは、彼の略歴をアルバム仕立てで見ることもできました。人との出会いや時代の流れの中での変化が見られます。
若くてファッション好きなパリジェンヌが多い展覧会でしたが、みんなヒールをはいていない(笑。もちろん、私も!)それでも展覧会は大盛況でしたから、靴は人の心を掴んでしまう魅力溢れるアイテムなんだと再確認。
2月末から開催されていた展覧会ですが、現在は休止中。再開後は、再び会期延長になることを願っています。
◼️施設情報
Palais de la Porte Dorée
住所:293, avenue Daumesnil 75012 Paris
メトロ:8番線 Porte Dorée駅 (ポルト・ドレ)
トラム:T3線
※現在臨時休業中です。再開情報などはHPを確認してください。
提供・PARIS mag(シンプルで上質なライフスタイルを提案するWEBマガジン)
【こちらの記事もおすすめ】
>今気になるのは“固め”プリン。都内で楽しめるプリン6選
>フランスの国民食!クスクスを使ったタブレのレシピ
>おうち時間に作りたい!家庭で作るフレンチレシピ集
>パリのブロカントショップ『Brocante Petite LULU』に聞く、アンティークの楽しみ
>2020年最新!パリグルメ通がおすすめするパリのお土産4選