コロナ禍の影響で、残業代が減ったり、ボーナスがカットされたりした人も多いでしょう。一方で、業界によっては追い風を受け、給料が増えた人もいるかもしれません。先の見えない時代を生きる私たちは、蓄財体質を身に付け、景気の動向に依存せずに資産形成することが大切になってくるでしょう。この記事では、人生のリスクヘッジとして蓄財の方法をいくつかの視点から解説していきます。

給料が減った人も、増えた人も……リスクに備えた蓄財体質を身に付けよう

まずはコロナ禍によって経済が受けた影響と、私たちが今後備えるべき人生のリスクについて考えてみましょう。

コロナ禍が業界に与えた影響……想定できない状況に見舞われるリスク

新型コロナウイルスによる感染症の蔓延は、私たちの生活だけでなく、経済にも大きな影響を及ぼしました。観光業が深刻なダメージを受ける一方で、プラスの影響がみられる業界もあります。

業務改善のシステムを提供しているレッドフォックス株式会社が2020年1月~4月に行った調査によると、ケーブルテレビやインターネット回線などの業界は、自宅で楽しめるコンテンツの需要が増加したことから、活発な営業活動を展開。ほかにも、運輸・配送業は、外出自粛によって通販の利用が増えたことから、業績へのプラス要因があるとされています。

このようにプラスの影響を受けた業界の中には、給料が増えた人もいるでしょう。しかし、今後どのようなリスクに見舞われ、境遇が変わるかわからないという意味では、一時的な給料の増減に一喜一憂することにあまり意味はありません。

むしろ、どのような状況になっても自分の人生を自分でコントロールできるよう、「蓄財体質」を身に付けることが大切です。

給料だけに依存しない……資本の蓄積が求められる時代

ITコンサルティング事業を展開する合同会社ブロミスタと投資メディアを運営する株式会社ARUYOは、 2020年6月~7月に20代会社員を対象とする「新型コロナウイルスによる投資意欲に対する意識変化に関する調査」を実施。

その結果、「新型コロナウイルス流行後でお金の心配が増えましたか」の問いに「すごくそう思う」「そう思う」と回答した人は約8割でした。また半数以上が、自身の老後までコロナの影響が続くと感じていることがわかりました。

一方で、「コロナ流行後では投資全般を始める事に対する意識は後退しましたか?」と尋ねたところ、後退していないという回答は44%、後退したという回答は33%でした。

かつて終身雇用が常識だった時代には、毎月もらえる給料は安全性が高いとみなされていたでしょう。一方で、リストラリスクや倒産リスクが決して他人事ではない今、給料だけに頼るのはむしろ危険なことかもしれません。

フローとストックのバランスが大事

一定の労働に対して対価として支払われる給料を「フロー」と言います。これに対して、貯まったお金は「ストック」と呼ばれます。今の時代に大切なのはフローに頼り切るのではなく、ストックを確実に増やし、ストックに“働いてもらう”ことでお金を得ることでしょう。

フローとストックのバランスを意識し、早いうちから資産形成に取り組みたいもの。そこで、資産計画を自動化(オートマチック)することが重要です。ここからは、書籍『オートマチック・ミリオネア』とともに、蓄財体質を身に付ける具体的な方法を紹介していきます。

『オートマチック・ミリオネア』スキルを身に付けよう

出典『The Automatic Millionaire』

『The Automatic Millionaire(オートマチック・ミリオネア)』は、アメリカで注目を浴びる資産コンサルタントのデヴィッド・バックが“努力なしで自動的にお金が貯まる究極の蓄財法”を解説する本です。日本では2004年に『自動的に大金持ちになる方法 オートマチック・ミリオネア』(白夜書房、訳・山内あゆ子)として発刊されています。

“努力なしで自動的に”というと、魔法のような方法が紹介されていると期待する人も多いかもしれませんが、この本の著者が語るのは、むしろ会社員がゆっくりと着実にお金持ちになるための方法です。

ラテマネーを削減し、自動化・仕組み化で蓄財する

著者が注目するのは、ラテマネーです。ラテマネーは「コーヒー代」と勘違いされることが多いですが、正しくは「細かい無駄な支出」のことです。

「意識すれば節約できるのに、意識しないから出費がかさむ」「気が付けば膨大な金額になり、資産形成の足を引っ張っている」それがラテマネーの怖さです。

ラテマネーは、ある人にとっては本当に「コーヒー代」でしょうし、人によっては「コンビニのお菓子代」や「毎晩楽しんでいるお酒代」だったりするかもしれません。自分にとってのラテマネーが何か振り返り、見直してみましょう。

そして無駄を削減できたら、その分を自動的に蓄財できる仕組みを作ります。

会社の財形貯蓄を活用するほか、投資信託など毎月数千円から始められる積立投資を検討してみましょう。たとえば、少額からの投資に適した「つみたてNISA」などの非課税制度や、「iDeCo(イデコ)」など節税効果のある私的年金制度を活用するのもよいでしょう。

「よし、お金を貯めるぞ!」と意気込むのでは、なかなか長続きしないもの。だからこそ、自動的に蓄財できる仕組みを作ってしまうことが成功のポイントです。