Profile
Profile / 1996年生まれ。2018年にデビューし、NHK連続テレビ小説「エール」、NHK特集ドラマ「アイドル」、NHK大河ドラマ「どうする家康」、「ACMA:GAME アクマゲーム」(日本テレビ系)など、多くの注目作品に出演。ベルリン国際映画祭で銀熊賞に輝いた濱口竜介監督の短編オムニバス『偶然と想像』では、3編のうちの1編で主演を務めたことも話題に。待機作に映画『お母さんが一緒』(7月公開)、『Cloud クラウド』(9月公開)、『シサム』(今秋公開)がある。
人と人が繋がる過程にある温かさや美しさを感じてもらえたら嬉しい
「まさか自分にラブストーリーのヒロイン役でお仕事をいただけるとは思っていなかった」と話し始めてくれたのは、映画『言えない秘密』で初恋愛映画のヒロインを務めた古川琴音さん。
「私がヒロインという驚きもありましたし、きちんと演じられるんだろうかというプレッシャーも感じていました。ラブストーリーは観ている方の心をちゃんと掴まないといけないと思っているので、それが果たして私にできるのだろうかと...。でも初めてこの作品に触れたとき、物語がとても素敵で大好きになって。不安より楽しみの気持ちの方が大きくなりました」
本作はアジア圏で大ヒットを記録した、2007年の同名台湾映画を原案に河合勇人監督がメガホンを取った珠玉のラブストーリー。伝統ある音楽大学を舞台に、留学先でのトラウマからピアノが弾けなくなってしまった音大生・湊人と、ある秘密を抱えた音大生・雪乃の恋模様が描かれる。ピアノの音色に導かれ運命的に出会った人は惹かれ合うが、ある日雪乃は湊人の前から姿を消してしまい...というストーリーだ。完成した作品を見たときの感想を伺うと「初めて自分の出ている作品で泣いた」と教えてくれた。
「最初は自分が恋愛をしている姿を見ることにすごく抵抗があるというか、恥ずかしくて見たくなかったんです。でもスクリーンで観たら映像がとても美しくて、こんなに素敵な作品に出させていただいた感謝の気持ちで胸がいっぱいになりました。きっと自分がおばあちゃんになったときにまた観たくなると思えるくらい、本当にみずみずしくてピュアなラブストーリーなのでどの世代の方にもきっと楽しんでもらえると思います」
美しいのは映像だけでなく、作品を彩る音楽だ。中でも2人を繋ぐ重要な楽曲として使われる「Secret」はこの作品のために史上最年少で第36回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した富貴晴美氏がこの作品のために書き下ろしたもの。古川さんも「この映画の世界観をそのまま表した素晴らしい曲」と大絶賛する。
「初めて聞いた瞬間に心をきゅっと掴まれました。教会で鐘が鳴っているかのような華やかで讃美歌のようなサビの部分と、それ以外の雨粒がしずかに染みていくような静かなパート。それがどんどん侵食し合っていく感じが雪乃と湊人の気持ちの動きを表しているようで、音楽なのに物語が見えるというか、この作品の世界観そのものなんです。作品を撮り終わった今でも練習しているくらい大好きな曲です」
幼少時にピアノを習っていたという古川さんだが、この作品に合わせてクランクイン前から本格的なレッスンを始めたのだとか。
「自分の体が映っている時はちゃんと自分がこの音を奏でているということを表現したかったので、できる限り自分自身で弾く努力をしました。でも私より大変だったのは湊人を演じた京本さんだと思います。ピアノ未経験なのにあそこまで弾けるようになるのは本当にすごいことなんです」
初共演だった京本大我さんとの距離を縮めてくれたのもピアノだったそう。
「待ち時間も2人で練習していたので自然と仲良くなることができました。印象に残っているのは連弾のシーンで、本当に難しかったので監督のOKをいただいたときは嬉しくて思わずハイタッチしたのを覚えています」
湊人と運命的な出会いを果たした雪乃のように、古川さんご自身の運命的な出会いを教えてもらうと“猫のむーちゃん”とのお答えが。
「1年前、外で猫の鳴き声がするので探しに行ってみたら見つけてしまったんです。ずっと鳴いているのに私が抱き上げたらピタッと鳴き止んで。最初は仕事柄不規則な生活の自分が育てられるわけがないから里親を探そうと思っていたのですが、1日面倒をみたらもう離れられなくなってしまいました。私のことを毎朝起こしに来てくれるんです。むーちゃんと戯れあっているときが1番幸せで、今日も1日頑張ろうと思えます。私の人生で1番の運命的な出会いですし、何よりの癒しの存在です」
最後に映画のタイトル『言えない秘密』にちなみ、古川さんの美しさの秘密を伺うと。
「私も自分だけの美しさとはなんだろうと探している最中です。美しさにも色々あると思いますが、自分が自分のことを美しいと思えるためにはどうしたらいいんだろうとよく考えています。美容のためにやっていることは...特に無いのですが、健康オタクなので、早起きして散歩して、できる限り自炊してという生活は苦ではないです。ちょっと嫌なことがあってもおいしいものを食べて、お散歩して、お風呂に浸かってむーちゃんと一緒に寝たらリセットされます(笑)」
でも、撮影中に役作りで体重を落とすために、食事制限をしたのは大変だったとか。
「短期間で体重を落とす必要があったので、決まったメニューしか食べられませんでした。現場には美味しそうなお弁当や大好物のドーナツの差し入れが並んでいるのに、それを横目に我慢しなければいけなかったのが悲しかったです。撮影後?もちろん1番先にドーナツを食べに行きました!(笑)」