◆完全に温まった状態の演技

『ブルーモーメント』の山下智久が、あまりに素晴らしかった。集大成だとか新境地だとか、そんなヤワな形容では到底語り尽くせないだろう。確かに気象研究官にしてSDM(特別災害対策本部)の一員という主人公の役柄は、山下にとっての初体験だとしても。

 山下扮する晴原柑九朗が指揮官として出動する現場は、どこも凍てついた場所ばかり。でもそんなところでも山下の演技の温度は極めて高い。サーモグラフィーで測れば、彼の周囲だけが異常にホットな数値が計測できるんじゃないか。

 それくらい本作の山下の演技は、完全に温まった状態。向かうところ敵なし。常にアベイラブルな戦闘態勢だとも言える。では、具体的にどこがどう素晴らしかったのか?