◆ボッタクリ商品を売りつける仕事

 輸入品雑貨の販売という、ちょっとおしゃれな響きの求人に惹かれて応募してしまった加奈さん。それがすべての間違いだったと話します。研修を受けて初めて知った驚きの業務内容とは一体どのようなものだったのでしょうか。

「売っていたのはなんと象牙の印鑑で、しかも1本25万円~60万円もする高級品だったんです。いま思えば完全なボッタクリ価格なんですが、当時はネットもそこまで詳しくない時代。それでも、せっかく入社したんだから頑張ろうと思っていました」

 大森さんが入社した会社ですが、当時の従業員は4人しかいなかったそうです。

ブラック企業でアポ電をかけまくる日々
「男性は部長のみで、後は全員女性でした。営業に行くのは女性だけでしたね。高額な印鑑をどうやって売るのかというと、色々な学校の卒業アルバムを買い取りして、そこから1人ずつ家に電話していくんです。

 いきなり、「象牙の印鑑買いませんか?」なんて電話明らかに怪しいんですが……。それでも中には騙されやすい人もいて、そこから“アポ”を取って実際に会いに行き契約させるというものでした。

 まぁ、実際は電話の時点で断られるか、会いに行って断られるかのどっちかなんですが、それでも先輩の女性社員は1日1本は契約を取ってきていましたね」