コロナ渦により家で過ごす人が多くなる一方で、日本全体、元気が無くなっている現状…そこで、せめて地元の神戸を元気にしなければ!と立ち上がったのが【よろずや熊澤】。酒屋ではありますが、地元生産者のおつまみや、調味料、お皿、酒器なども販売されていて、まさに何でも屋さんの「よろずや」。店内を見ているだけでもワクワクするお店です。

【よろずや熊澤】が立ち上がったワケ

写真:まき子

元々は 「リカー熊澤」 という店名の酒屋で、個人客にも販売はしていましたが、主に飲食店などへの販売をメインに行っていました。

しかし、コロナ渦で飲食店は大打撃…地元の神戸を歩く人も少なくなり、街は以前のような賑わいがありません。当然、飲食店メインに卸していたリカー熊澤も危機を感じ、「このままではいけない!酒屋として神戸の街をなんとか元気にするためには…?」と、立ち上げたのが「リカー熊澤」改め 【よろずや熊澤】 です。

地元のために…!と常に想いを馳せる【熊澤】

写真:まき子

【よろずや熊澤】 の母体は 「ケインズリカー」 という大きな酒屋ですが、その元は、現社長のおばあさまが昭和のはじめから細々とやっていた 「酒商 熊澤」 。今は「酒屋として地元の役に立ちたい」と、様々な飲食店を手がけるように。

そのきっかけは  阪神大震災 。みんなが復興に必死だった頃、倒壊したビルの大家さんから 「この街に灯りをつけて欲しい」 と頼まれ、元町駅の近くに「元町エビス」というプレハブの居酒屋を開業したんだそう。

みんな、ボロボロになった街の瓦礫を取り除いたり掃除をしたり…そんな時に、「元町エビス」の存在は疲れた人の癒しになったと思います。

さらに、 東日本大震災  の時にも大きな変化がありました。東北と神戸、場所は離れていても、阪神大震災を経験した人たちにとっては、人ごとではない。「人はいつ死ぬかわからないから、何かしたい!」という思いで立ち上げたのが、かつての屋号 「酒商 熊澤」 をつけた立ち飲み屋です。

以降、熊澤グループの飲食店は3つになりましたが(後ほどご紹介します)、今回紹介する 【よろずや熊澤】 は、試飲OKの酒屋。でも、ただの酒屋じゃありません。

セレクトショップ的な酒屋【よろずや熊澤】

写真:まき子

ただの酒屋ではないというのは、店名の 「よろずや」 にあるとおり、お酒を売るだけではなく、いろいろな地元のお店とタッグを組んで商品を販売しているからです。コンセプトは冒頭にもご紹介した通り 「神戸の街を元気にしたい」。

ディスプレイに拘っている店内

写真:まき子

まず、店内は良い意味で酒屋らしくないです。まさに  “神戸発のセレクトショップ”

主に、日本酒、日本ワイン…といったように、日本のお酒に力を入れているため、やっぱり大事なのは  “日本らしい季節感”  。だからこそ、ディスプレイで季節感を出すよう、こだわっているのですね。

豊富なお酒のラインナップと関連商品の数々

写真:まき子

日本酒、日本ワイン、日本麦酒など、日本産にこだわっており、地元の地酒をメインに洋酒もあるなど、幅広い種類のお酒が置かれています。

写真:まき子

自由に入ることができる部屋も見もの!ズラ~っと魅力的なお酒が並んでいます。この部屋は基本的に常温でOKのお酒たちが置かれています。室温は、空調で一定の温度を保たれているそう。

写真:まき子

奥にある冷蔵庫にも、たくさんの日本酒や日本ワインが。これだけ色々あるとどれを購入しようか悩んでしまうかもしれませんが、そんな時は気軽に店員さんに聞いてみてください。きっとお好みのお酒をチョイスしてくれると思います。

酒に繋がる「こだわりの地元の調味料」や「野菜」も

ただお酒を飲むだけではつまらない。やっぱり料理、食べるものがあってこそ、楽しめるというものです。なので、家でも美味しいおつまみを作ることができる調味料も色々あります。

写真:まき子

例えば、兵庫県多可郡にある 「足立醸造」 の醤油をはじめとする調味料、愛知県の  三河みりん  などなど。これで、お酒に合うアテを家で作りたくなっちゃいます。

また、フードロスを無くすため、地元の農家さんと契約し、野菜販売のお手伝いもしているんだそう。生鮮野菜は常にお店はないので、興味のある方は事前にお問い合わせください。

飲んだり食べたりするのが楽しくなる器

食卓を飾る素敵な器も、兵庫産にこだわったものがたくさんあり、目移りしてしまいます。

写真:まき子

こちらの盃にある模様は、兵庫にまつわる武家の家紋。姫路城の主・黒田官兵衛の家紋「藤巴」、兵庫の港で中国と貿易を行なっていた平清盛の家紋「揚羽蝶」、「桔梗」は丹波に由縁のある明智光秀の家紋です。

写真:まき子

また、兵庫で活躍している陶芸家さんの器もいろいろ置いています。上の写真にある器は、日本六古窯の一つ、  丹波焼  。その窯元  丹文窯  の4代目  大西雅文  さんが作陶した品です。丹波焼の歴史を尊重しながらも、モダンな仕上がりです。

写真:まき子

こちらの器も、  丹波焼  を作陶している  市野太郎  さんの品。厳かな丹波焼に、軽やかな風合いを混ぜ込んだ作風は、とってもユニーク。どこか懐かしく「かわいい~!」と言ってしまうような器で、普段使いにもぴったりです。

この他にもたくさん器が並んでいるので、見ているだけでもワクワクしちゃいます。