プロサッカーチームのモンテディオ山形は、60歳以上のコミュニティ「O-60 モンテディオやまびこ」の正式ローンチを発表した。

高齢化を脅威ではなく機会に

山形県は、県内人口における高齢者の割合が1/4を上回り、他県と比較しても高齢化が進んでいる。

「O-60 モンテディオやまびこ」の取り組みは、「高齢化=悪いこと(脅威)」というイメージを払拭し、高齢者の健康推進と活躍機会の創出により、地域社会や経済成長に貢献できるモデルを構築することを目的にスタートした。その足掛かりとして、声を起点とした課題解決サービスを提供する。

同取り組みは、スポーツ庁がスポーツ成長産業の促進事業として展開している「スポーツオープンイノベーション推進事業(SPORTS OPEN INNOVATION BUSINESS BUILD)」への参加を機にスタート。

山形県という地域が抱える高齢化率の加速、高齢者にまつわる社会課題をテーマに、パートナー企業のボイスクリエーションシュクルとディスカッションするなかで、双方の強みを活かし、課題を解決できる共創モデルとして、“声を磨いて高齢者の課題を解決する”「O-60 モンテディオやまびこ」によるアプローチを考案した。

高齢者が抱える健康課題

まず、実際に高齢者がどのような課題を抱えているのかを調査すべく、クラブ主導で60歳以上にアンケートを実施。


調査の結果、「自分の足で歩きたい」「認知症になりたくない」「自分の歯で食べ物を食べたい」など、体に関することだけではなく、「人の役に立ちたい」「友人と楽しく過ごしたい」など、今後実現したいことも多く回答があったという。

「声磨き」について

これらに対して網羅的にアプローチでき、健康改善・自己実現につながるサービスが「声磨き」だ。「声磨き」により、顎の可動域や滑舌をよくすることは認知症予防に繋がり、声を出すことは噛む、飲み込む、消化する動きを活性化させる。

声を磨くということは、発語発声機能の向上、コミュニケーション能力の向上、姿勢の改善、脳の活性化、メンタルヘルス、美容やアンチエイジングなど、複数の要素で心身にプラスに働く。

PoCも実施

また、ニーズの有無や提供サービスの妥当性を確認するため、2023年12月よりPoC(Proof of Concept)を実施した。第1回目(2023年12月~2024年1月)では、クローズで参加者を募集。健康課題に対する「声磨き」のアプローチの「技術検証」を実施し、すべての参加者が変化を実感したという。

第2回(2024年1月~3月)では、クラブオウンドメディアを中心に参加者を募集。プロダクトに対しての「価格検証(ビジネス検証)」を実施し、目標の参加人数を達成したほか、参加者の満足度も設定ラインを超えた。

以上の結果を踏まえ、正式サービスとして開始することを決定した。

なお、PoCとは、日本語で「概念実証」と訳される言葉で、新しいアイデアや技術の実現可能性を検証することを指す。