6月19日(水)、TISTOUは静岡県静岡市に新しい拠点「TISTOU WAREHOUSE STORE」をオープンした。同店は、「Henry Dean」や「DOMANI」などベルギーを中心としたフラワーベースやプランターの輸入総代理店を務める同社が打ち出すプロジェクト「Beauty in Broken Object」のプロダクトの展示販売および受注を行う、新たなコンセプトの店舗だ。

“壊れたものの中にある美しさ”を見いだす


同店のオープンにあわせ、同社は新プロジェクト「Beauty in Broken Object」を始動する。


これは、『一 hashime』を主宰する箒・籐巻職人、小林研哉さんと共に、“壊れたものの中にある美しさ”を見いだし、その価値を日本に、そして世界に伝えていく取り組み。

同社は1999年の創業以来、ベルギーを中心としたヨーロッパの美しく楽しいデザインを日本の市場に紹介してきた。


その多くがヨーロッパの工房で生み出され、コンテナで海をわたって日本へと届く。ところがDOMANIやHenry Deanは陶器やガラスといった繊細な素材。どんなに丁寧にしっかりと梱包されていても、輸送の途中で釉薬がはげたり、欠けたり、割れてしまうことがある。

また、DOMANIとHenry Deanは、工芸品とプロダクトのちょうど間にあるような存在。職人たちがひとつひとつ手作業で作るため、フォルムや色、土のテクスチュア、ガラスの気泡など、それぞれの表情に個性が生まれる。同社は、それこそが魅力であり美しさであると捉え、日本に紹介してきた。


しかしながら、高い品質が求められる日本の市場においては、ブランドの基準で問題がないと判断したものでも、小さな汚れや傷、色ムラ、歪みがあれば“B品”と見なされることが多い。そうしたものを日本の市場に出すことはできず、その数は一年間に300点以上にのぼることもあるという。

同社は長年、この状況に鬱積した感情を抱えてきた。これらをつくるブランドやデザイナー、職人が、どんなにひたむきな思いでものづくりに向き合っているかをよく知っているからだ。「さまざまな理由があって倉庫に眠ったままのプロダクトを見るたびに彼らの顔が思い浮かび、廃棄することはとうていできませんでした。」と同社は話す。

日本の職人技で、新たな価値を生み出す


そんななか同社は、籐継ぎや籐巻き、鎹(かすがい)継ぎの技法を用いて器の修復を手掛ける小林研哉さんと出会う。


東欧の伝統技術に裏付けられたDOMANIのプランターやHenry Deanのフラワーベース、そして日本で長く親しまれてきた籐工芸を修復の技法として昇華させる小林さんの手仕事。

それらが共鳴したとき、新たな価値を生み出すのではないだろうか。プロダクトは息を吹き返し、いきいきと輝きを放つのではないだろうか。そんな希望に背中を押され、「Beauty in Broken Object」は立ち上がった。