世の中には1,000万円貯蓄している人が結構いることを、元税理士事務所経理の筆者は知っています。そして、1,000万円をたやすく貯蓄する人には、ある共通点があることも筆者は見てきました。
今回は「1,000万円を貯蓄する人」の何でもない、3つの共通点を紹介します。
1000万円貯蓄している人はどのぐらいいる?
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によれば、金融資産保有額が1,000万円以上を超えているのは調査参加者の41.3%という結果でした。
この数値だけを見ると「10人に4人は1,000万円以上貯めている」計算になります。さらに、保有額が3,000万円以上という強者も16.8%に達しました。
1,000万円貯めるのは決して不可能ではありませんが、意識しないと達成が難しいのも事実、といったところでしょう。
1,000万円貯蓄する人の共通点3つ
1,000万円貯蓄するのは決して夢ではありませんが、気を引き締めてかからないと厳しいのも事実です。そこで、本気で1,000万円したいと思うならぜひ取り入れて欲しい節約術を紹介します。
共通点1:付き合いが良くもないし悪くもない
1,000万円を計画的に貯蓄できる人の特徴として「付き合いが良くもないし悪くもない」というのがあります。声をかけられたらホイホイ飲みに行く、というわけでもない、しかし、送別会や歓迎会など大事な飲み会は毎回必ず出席している、という感じです。
貯蓄上手な人は、自分にとって価値のある交際費は積極的に使います。しかし、価値がない交際費は省く傾向にあります。
気が乗らない飲み会は、浪費となるうえに、精神的にも疲れます。相手との関係性次第の部分もありますが、毎回参加するのではなく「4回に1回ぐらいは参加する」など、角が立たない程度に参加回数を調整するのがおすすめです。
浮いたお金は貯金に回したり、キャリアアップ・スキルアップのために使ったりしましょう。「毎月〇〇円まで」とあらかじめ予算を決めるのも重要です。
共通点2:お金をかけずに趣味を楽しんでいる
趣味にお金を使い過ぎない点も、1,000万円貯める人の共通点です。ウォーキングやランニングなど施設を使わなくても済む運動、図書館で読書、自宅で映画鑑賞など、お金が発生しない趣味を上手に楽しんでいるようです。
よく、ジョギングといえばスポーツジムのランニングマシン、読書といえばTSUTAYA併設のスタバ、映画といえばカルチャー色の濃い最新型の映画館、といった具合に形から入る人がいますが、それ本当に必要でしょうか?
ゴルフや車、バイクなどどうしてもゆずれない趣味がある人もいるでしょう。こだわりがある趣味を持つことは素晴らしいことですが、道具代がかかる趣味は1つに絞ったほうが無難です。何もかもを我慢するとストレスが溜まるので、本当に好きなものは続けても構いませんが、あれこれ手を出すのはやめましょう。
共通点3:ボーナスをボーナスと思っていない
1,000万円を難なく貯める人は、ボーナスを「ボーナス!」と思っていません。ボーナスと聞くと、自分へのご褒美、奮発・贅沢してよい資金とイメージする人がいるかもしれません。
しかし、貯蓄上手な人はボーナスを臨時の特別な収入と考えていないようです。
ボーナスはキャッシュフローの一部であり、特別扱いするお金と認識していないので、無駄遣いせずに貯蓄します。
そもそもボーナスは、所属する企業の業績や景気などの外部環境により金額が変わります。2020年初頭から世界中で流行した新型コロナウイルス感染症の影響で、ボーナスの大幅ダウンに見舞われた人もいたはずです。また、ボーナス=賞与の給付は法律で義務付けられているわけではないため、勤務先によってはボーナス自体がないことがありえます。「もらえたらラッキー」位に考え、ボーナスがなくても問題がない前提でやりくりしましょう。
先取り貯金や積立投資などで貯まる仕組みを作ろう
貯蓄1,000万円を目指すなら貯まる仕組みづくりも重要になります。ぜひ取り入れて欲しい工夫の1つが「先取り貯金」です。つまり、給与などが入ったら毎月一定額を貯金専用口座に取り分けておきます。銀行によっては「自動振込サービス」などの名称で毎月一定の日に一定額を別の口座に振り込んでくれるサービスを提供しているので、一度設定しておくと非常に便利です。
また、積立投資にもぜひチャレンジしてみましょう。2024年1月からNISA(少額投資非課税制度)が大幅に変更になり、より長期での積立投資がしやすくなりました。毎月1,000円程度から始められるので、すぐに投資額を増やせなくても、勉強の一環として取りくんでみるのをおすすめします。
文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。