自分の家を持つことは将来の夢によくあげられますが、高額な買い物だけに購入の決断は慎重になってしまいます。一方で持ち家という夢の実現に近づく現実的な手段の一つとなるのが、価格の安い中古住宅の購入です。中古住宅の購入は本当にお得なのでしょうか?今回は中古住宅購入のメリットとデメリットを、戸建てとマンションの両タイプで考えてみましょう。
新築と比較した場合の中古住宅のメリットとデメリット
新築住宅と比べ、中古住宅の購入にはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。さっそく整理してみましょう。
メリット:安価なだけに広い条件で選べる
中古住宅購入の最大のメリットは、何といっても価格の安さです。建物の評価額は経年とともに下がります。特に木造住宅の法定耐用年数は22年と定められており、その建築年数を超えると住むことはできても建物自体の税務上の資産価値は無くなってしまうのです。こうした理由から、築年数が古い木造住宅は、かなり安価で購入することができます。
マンションの場合、木造住宅と比べて値下がり幅は低いものの、新築と比較すると中古物件はかなり割安となります。新築に比べると予算にゆとりが出ることから、立地や間取りなどの面で選択肢が広がり、よりさまざまな候補のなかから選ぶことができるでしょう。
特に「職住近接」が注目される時代において、立地の選択肢が増えることは見逃せません。また、新築の注文住宅の場合には、設計図は見られるものの、完成間近になるまで陽光の入り具合や窓からの景観など詳細を実際に把握はできません。
しかし、中古住宅であれば、購入前に内見を行うことができ、実際の生活シーンをイメージすることが容易です。売り主が居住しており、内見が難しい場合もありますが、業者を通じ詳しい物件情報を確認することはできます。
デメリット:設備面での懸念が多い
中古住宅は、物件が古いため購入費のほかにリフォームやリノベーションなどの修繕費用が掛かる場合もあります。当然建物の付帯設備も古過ぎるものや故障して使えないものは物品交換、工事、廃棄処理などの費用などが掛かるでしょう。
また古い物件は、耐震性能に関して注意が必要です。建物の耐震基準は1981年に改定され、それ以降に設計された建物は基本的に「新耐震基準」をクリアしています。逆に、基準改定前に建てられた物件は、現在の耐震基準をクリアしていない可能性があり、安全面の懸念を抱えていることになります。
さらに中古住宅購入では、新築住宅に比べ住宅ローンの審査が厳しくなります。住宅ローンの審査は住宅物件に対して抵当権を設定するため、その住宅物件の価値も審査対象となります。築年数が古い物件は担保としての価値が低く見積もられ、審査が通らなくなる可能性があります。
どちらがお得?新築・中古を購入するときの諸費用
中古住宅は立地や建物の間取りなどをさまざまな条件のなかから選べるという利点がありますが、住宅購入として本当に得なのでしょうか?新築・中古住宅それぞれ同額の物件を購入するとして、掛かる費用にどのような違いがあるかを検証しましょう。
中古住宅の購入時には仲介手数料が掛かる
たとえば、新築・中古それぞれで同額のマンション物件を購入するとします。したがって、頭金や住宅ローンの支払額は同額を想定します。このとき、頭金やローン以外の、いわゆる諸費用の部分で新築と中古では違いがあります。
中古住宅は仲介会社を通す場合がほとんどで、仲介手数料が掛かります。新築マンションでは、初期費用として修繕積立基金が掛かります。
これらの金額は、仲介会社や物件の価格によって違いはあるものの、同額の物件で比較すると中古住宅の購入で支払う仲介手数料のほうが高い傾向にあります。たとえばマンションの場合、新築購入時の修繕積立基金は20~50万円程度であるのに比べ、中古を購入時の仲介手数料は、物件の3%程度と言われています。
なお新築でも建て売りの戸建て住宅では、仲介手数料が発生するケースがありますので注意が必要です。
中古住宅のデメリットである維持費、税金の差
マンションの居住で必要となる修繕積立金は、一般的に築年数が古いほうが高くなります。戸建ての物件では設備修繕費やリフォームなどの費用が該当しますが、当然中古住宅のほうが費用は多く掛かります。
その反面、住宅購入後には土地、建物に対する不動産評価額をベースとした固定資産税と都市計画税を支払わなければなりませんが、先述のとおり中古住宅は建物の評価額が新築と比べると低く、税金を抑えられます。
ただし新築物件は、条件により軽減措置の対象となるケースがあります。固定資産税は、新築の場合マンションは当初5年間、戸建ては3年間、建物分が半額に減額されます。
また住宅ローン控除は、新築の場合は対象となる年末時点でのローン残高の上限が4,000万円、建物に消費税が掛からない中古住宅では2,000万円が上限となり、物件の購入金額によっては新築のほうが控除額は多くなります。