女性・子ども支援を行うウィメンズネット・こうべと、学生支援を行う神戸学生青年センターによる「六甲ウィメンズハウス運営協議会」が、兵庫県神戸市に困難を抱える女性や子どもたちの住居「六甲ウィメンズハウス」を、6月より開設した。
新しい人生の実現をサポート
「六甲ウィメンズハウス」は「六甲ウィメンズハウス運営協議会」によって運営されており、様々な困難を抱えた女性やその子どもたちが、孤立せずに安心して暮らし、自立していけるよう支えることを目標としている。シングルマザー、若年女性や女子学生・留学生を対象として、様々な事情から住宅確保が難しい状況にある人に、「ここにしか住めない」ではなく「ここに住みたい」と思ってもらえる住まいをつくることを目指した共同住宅だ。
パートナーや親族からの暴力を受けている女性、シングルマザー、非正規・低収入の女性の多くは所持金が少なく、保証人もなく、住居の取得が困難なケースが多い。さらに、コロナ禍の影響で経済的困難に直面する学生・留学生の急増、虐待により家に居場所がないという女性たちが増えているという。
「六甲ウィメンズハウス」では、様々な理由によりサポートが必要な女性たちに、助け合いながら生活の再建を目指せるような居住空間を提供し、新しい人生の実現をサポートしたいと考えている。
ジェンダー平等社会の実現を目指す
女性と子ども支援センター ウィメンズネット・こうべは、1992年の発足以来、女性の人権を守り、ジェンダー平等社会の実現を目指して活動し、2019年には居住支援法人の資格を取得して、住宅取得が困難な女性を対象に家探しも行っている。長年の支援活動を通じて実感しているのは、安心して暮らせる住まいがあることで、働く意欲や学ぶ意欲が湧き、健やかな子育て環境の整備にもつながるということだという。
さらに、住まいだけでは解決できない「孤立」の問題があり、貧困と孤立が重なると虐待のリスクが非常に高まることを認識したとのことだ。
ウィメンズハウスを建てるプロジェクトは、十数年前に代表の正井氏が北欧のデンマークのDVシェルターを見学したことがきっかけで構想。外観は古めかしかったものの、内部はデザイナーズマンションのように美しく、広いリビングやキッチン、素敵な家具、さらにプレイルームやカウンセリングルームが完備されている環境に感銘を受けたという。これを機に「夢のウィメンズハウスをつくろう!」という思いを多くの人に伝え、協力を呼びかけ続けた。