©2024 アリス映像プロジェクト/Ama No Kaze

隠岐ユネスコ世界ジオパークの泊まれる拠点「Entô(エントウ)」は、3周年イベントとしてアリス・ウォータース氏のドキュメンタリー映画上映会を7月7日(日)に開催する。

「地産地消」をテーマに掲げるEntôの食

教育関係者や農家が集いアリスの 言葉に耳を傾けた。(京都府亀岡市)©2024 アリス映像プロジェクト/Ama No Kaze

Entôの「食」の根幹である「地産地消」を50年前から提唱し、活動を続けてきたアリス・ウォータース氏初のドキュメンタリー映画の完成を記念して、3周年イベントにて映画上映会を開催する。

全米で予約の取れないレストラン「シェ・パニース」、学校教育を変えた「エディブル・スクールヤード」の創始者であり、オーガニックの母と呼ばれているアリス・ウォータース氏。

アリス氏の提唱する「地産地消」、それに根差した料理への姿勢に触れて、料理を志したスタッフがEntôのダイニングで働いている。

彼女はアリス氏を目標に料理人として歩み、Entôの食との向き合い方に共感し、この海士町へ移住してきた。

2023年、『スローフード宣言ーー食べることは生きること』の日本語版出版1周年記念に来日ツアーが企画され、アリス氏が海士町に来島。

その際にEntôへ宿泊し、このスタッフの作る朝食を食べる機会があり、アリス氏はその食材の使い方や工夫に感動した。

このことがきっかけとなり、来日ツアーに参加し、アリス氏の「おいしい革命」の探究の一部を体験してきた。

この経験は、今年4月にリニューアルされたEntô Diningの朝食メニューへと反映され、現在Entôを訪れた人の「海士町の食体験」へと繋がっている。

オーガニックの母の集大成本が隠岐の出版社から出版


原著である『WE ARE WHAT WE EAT:A Slow Food Manifesto』は2021年に米国で発売され、他国でも翻訳出版されるなど世界中に広がっている。

日本では数社が名乗りを挙げる中、Entôと同じ海士町を拠点に活動する風と土との出版部門である「海士の風」から出版された。

この50年間で、人の食べかたがどんな風に変わってきたのか。「オーガニックの母」と呼ばれる著者が辿り着いた未来のかたちが綴られた集大成だ。

アリスと旅する「おいしい探究」の記録を映画化

小学校6年生の授業に参加し給食の献立 について一緒に考える。(海士町) ©2024 アリス映像プロジェクト/Ama No Kaze

「アリスから直接語られる言葉を広く共有したい」という想いから始まった、出版1周年を記念したアリス氏の来日ツアー。

アリス氏が日本各地を訪ね、学校給食を味わい、大地の守り手である生産者、料理人と真摯な気持ちで向き合い触れ合い、「食」を通して、人と人、人と自然を繋げ、社会課題を解決していく力強い言葉を各地で伝えてきた。

映画化プロジェクトでは、そんなアリス氏の様子と彼女がむけるまなざしをより多くの人に届けたいと思い、クラウドファンディングで資金を集め、海士町をはじめとした来日ツアーと、さらに彼女の拠点であるカリフォルニア・バークレーへと取材の旅は広がった。

アリス氏自身初めてとなる日本での出会いを通じて、「おいしい革命」の探求へと向かい、未来につなぐためのドキュメンタリー映画が完成した。