Profile
Profile / 1987年生まれ。2001年に『リリイ・シュシュのすべて』で主演デビューを果たす。2004年には、第27回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年では「鎌倉殿の13人」、「正直不動産」シリーズ、舞台「中村仲蔵 〜歌舞伎王国 下剋上異聞〜」など、多くのドラマや映画、舞台で活躍中。また、写真家としても活動中。
好きなものを好きと言える勇気その大切さが伝わって欲しい
給食をこよなく愛する中学教師、甘利田幸男。その飽くなき給食道を描き続けてきた食ドラの金字塔「おいしい給食」が『おいしい給食 Road to イカメシ』として、再びスクリーンに戻ってくる。ドラマ3シーズン、劇場版映画2本と作品を重ねるごとに熱烈なファンを増やし続けた空前絶後の給食スペクタクルコメディ。今回はどんな“うまそげ”対決が行われるのか、今から心待ちにしている人も多いはず。
「街中やお店で“おいしい給食楽しみにしています”と声をかけていただくことがとても多くなりました。先日もタクシーの運転士さんに“甘利田先生大好きです”と言っていただけて。老若男女問わず、多くの方に愛される作品になったことが本当に嬉しいですし、シーズン3まで続けてこられたことは奇跡だと思っています」
『おいしい給食』には特別な思い入れがあると市原さんは話す。
「今まで役者としてニッチなほうへ、自分のために芝居を選んできたような部分もありました。アクション 濃密な恋愛もの、とことん狂気な芝居など、いろいろなものを追いかけたくなる時期でもあって。ですが、あらためてエンターテインメントを捉えたときに、すべての方に楽しんでいただける作品を作りたいという想いがふつふつと湧いたんです。さらにコロナ禍を経験したことでよりその気持ちは強くなり、お子さまから人生のキャリアを積まれた方まで、どんな方が観てもしっかりと楽しめて、人生の糧となるような作品にしようと、この作品を創ってきました」
『おいしい給食』が全シリーズを通して伝えたいのは「笑われながらも好きなものを好きと胸を張って、人生を謳歌する気持ち、楽しむ気持ちを忘れないでほしい。その勇気を持っていてほしい」というメッセージ。その想いはもちろん今回の作品にもしっかりと込められている。
「何度も何度も声をからしながらも叫び続ける、観客の皆様に送るエールのような作品です。本気で取り組まなければ見えてこないものがあると思います。本気で笑って本気で泣いて、本気で悔しがって物事の根源を見つめ続けることでしか見えない景色というものが。それをこの作品を通して伝えていくことを目標にしてきましたので、今回も甘利田はフルスロットル。完全にキャパオーバーですが、未だかつてないパンチの効いた面白い作品に仕上がっているので楽しみにしていただけたら嬉しいです」
給食とは何なのか、人との関わりとは。何を選び、何を捨て、どう人生を切り開いていくのか。キングオブコメディと言える本作の中には大切なメッセージがたくさん込められている。
「今回も見どころはたくさんあるのですが、大原優乃さん演じる比留川先生にも注目していただきたいですね。なかなか自信が持てず、受け身だった彼女が、自分が信じる道を掴みにいくまでの描写は多くの方に勇気を与えてくれると思います」
甘利田先生につけられた“霊長類最強の給食愛”というキャッチコピーにちなみ、市原さん自身の“○○愛”を伺うと、間髪入れずに、“バイク愛です”とのお答えが。
「バイクで旅をするのが大好きです。行き先も決めずに思いつくままにバイクを走らせて、その場で出会った方とお話をしたり、美味しそうなお店を見つけたらフラッと立ち寄ったりする時間が何よりの癒しです。バイクのエンジンの回転数を上げながら、流れる街並みの中に身を置くとネガティブなことも全部風の中に消えていくような気がするんです」
ポンとできた休みに、念願だった富士登山にも出かけたという市原さん。
「山頂での美しい景色、そして日本最高峰と書かれた看板を見たときは日本のてっぺんにいることを実感して涙が止まらなくなりました。一歩ずつ歩みを重ねていけばいつかは必ず頂点に辿り着くということが実感できて本当に登って良かったです」
市原さんの人生は今、何合目かを伺うと「7合目くらいまでは来たのかな」とお答えが。
「自分の体力がいつまで持つのかを考えたことがあるんです。今、37歳になりましたが50歳になっても同じ芝居ができるだろうかと。あと何年かしたらアクションもセーブしなくてはいけない日が来るのかと思ったら、今はある体力をどれだけ注ぎ込めるかという勝負の時期なのかもしれません。え、40歳で甘利田先生?体力的にできるかなぁ(笑)」
最後に40代を目の前にした市原さんに、残りの30代でやっておきたいことを伺うと。
「もう一度自分の考えをバラしてフラットにしたいです。歳を重ねるごとに価値観や考え方が固定されていくような、守りに入っている自分を感じることがあって。なので、もう一度無鉄砲だった10代や20代の頃を思い出して、今ある凝り固まったものを一度壊して、新たにいろんなものを学びの場として受け入れ、吸収しながら40代を迎えたいです。そして、40代までは死ぬ気で仕事をしたいと思っています」