厚生年金基金が事実上廃止され、今ある基金も解散するか確定給付企業年金への移行が促されています。「うちの旦那が会社でかけてきた年金はどうなる?」と心配な奥様もいるのではないでしょうか。

結論から申し上げますと、旦那様がかけてきた年金はしっかりともらえます。今回はFPの筆者が、厚生年金基金廃止後、年金はどうなったのかを解説します。

厚生年金基金が廃止、かけてきた年金はどうなる?

厚生年金基金は事実上廃止されました。1,800以上あった基金は、解散や代行返上により5基金にまで減っています(2022年3月現在)。かけてきた年金がどうなるのかとういうと、 基金が解散した場合は「企業年金連合会」という機関から支給されます

会社が確定給付企業年金に移行すれば、その企業年金の積立金に回されます。旦那様が、自分がかけてきた企業年金についてどうしたらもらえるのか、手続きの方法がわからない場合は、Webサイトなどで、一緒に確認してみてくださいね。

問合せ先:あなたの企業年金、お忘れではありませんか?

厚生年金基金以外の企業年金

企業年金には、厚生年金基金以外にも種類があります。

確定給付企業年金(基金型)

確定給付企業年金(基金型)とは、「企業年金基金」という法人が運営する企業年金です。企業年金基金とは、企業や業界団体等が厚生労働大臣の認可を受けて設立する法人のことで「母体となる会社とは別の、企業年金の管理・運用や加入者への対応に特化した会社」と考えましょう。

厚生年金基金の仕組みに似ていますが、国に代わって運営する代行部分はありません。地域や業種に関わらず加入できる総合型の企業年金基金もできています。規約型と合わせてもっとも多い加入者数となっています。

確定拠出年金(企業型)

確定拠出年金(企業型)では、会社が掛け金を支払い、社員はその掛け金で指定された金融機関から自分に合った金融商品を購入して運用します。

社員が自分で金融商品の購入・管理・運用を行う必要があり、勉強しないと将来的に十分な年金が受け取れないかもしれないので注意が必要です。

iDeCo・NISAなども活用し老後の資産形成を

現在は、確定給付企業年金から確定拠出年金に移行するなど、企業年金制度が変化しています。

つまり「将来的にこの金額をあげるので安心して働いてください」という考え方から、「一定額の掛け金を出してあげるから、自分で運用して十分な年金を受け取れるように備えてください」という考え方になったと考えましょう。

現代は「旦那様だけが会社員で、奥様は専業主婦」という家庭は減っています。旦那様の年金をあてにせず、早いうちからNISAやiDeCoを使い、老後資金をコツコツと準備しましょう。

文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。