◆しぐさ②:叱られている時の毛づくろいは動揺する気持ちに「落ち着け~!」と言い聞かせているサイン

画像は本書(P39)より
画像は本書(P39)より
 登ってはいけない、としつけたのに、テーブルに跳び乗ったときに「ここはダメって教えたでしよ」と小言を続けている飼い主に対し、「聞こえな~い」とばかりに毛づくろいを始めるネコがいます。

 ほとんど自分が無視された状態ともいえる飼い主は、テーブルに登られたことより、まるでシラを切るようなしぐさを見て、そちらのほうに腹を立ててしまったりするかもしれません。

 一方のネコは、後肢で体をカキカキしたり、体をなめたりとグルーミングに余念がない様子です。でも、これは通常の毛づくろいと異なり、本気で二オイ消しをしようとか、抜け毛で乱れた毛並みを整えようとしているわけではありません。この行動は、飼い主に叱られた心の懃揺を鎮めようとして行う、精神安定のためのグルーミングなのです。

「なんだかわかんないけど、叱られちゃった、どうしよう」という思いと、とりあえずなんとかしなくては……という不安定な気持ちがそうさせるのでしょう。心細くてしかたなかった赤ちゃんネコ時代に、母ネコに体をなめてもらって得た落ち着きを、自分でつくりだそうとしていると考えられます。

 実際にネコは、毛づくろいをすると副交感神経が刺激され、早鐘を打っていた心臓の鼓動がゆったりとなるのだそうです。つまりリラックスした状態になるといえます。

 そのため、飼い主に叱られたときの動揺以外にも、恐怖を感じたときなども毛づくろいをします。叱ったあとに顔をそむけて熱心に毛づくろいを始められた飼い主にしてみれば、そんな事情があったとしても、腹立たしい限りかもしれません。とはいえ、そんなときは動揺が鎮まるまでグルーミングをさせておくしかないでしょう。

 ですが、時間をおいてから叱っても、ネコは何に対して叱られたのかわからないといわれますから、なるべくその場でしつけておきたいものです。

<構成/女子SPA!編集部>

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