小豆島の名を広めた、昭和を代表する小説『二十四の瞳』。昭和27年(1954年)に初めて映画化されて以来、何度も映像化されています。本記事では、昭和レトロな世界をたっぷりと楽しむことができる「二十四の瞳映画村」内の施設や、おすすめ撮影スポットなどをご紹介します。
小説『二十四の瞳』と壺井栄について
「二十四の瞳映画村」 は、昭和27年(1952年)に 壺井栄(つぼいさかえ) が発表した 小説『二十四の瞳』 を映画化した際のロケ用オープンセットを改築し、公開している施設です。
まずは、映画村の詳しいご紹介をする前に女流作家・壺井栄と小説『二十四の瞳』についてご紹介します。
小豆島が生んだ稀代の女流作家・壺井栄
壺井栄は、明治32年(1899年)8月5日、醤油樽職人の父・岩井藤吉と妻・アサの五女として坂手村(現在の小豆島町坂手)に生まれました。
大正14年(1925年)、上京し同郷の詩人・壺井繁治と結婚。夫と共に作品を書き始めます。昭和13年(1938年)に『大根の葉』を発表して以来、『暦』『初旅』『母のない子と子のない母と』など庶民的な作風で幅広い支持を受けました。その中でも昭和27年(1952年)に発表した『二十四の瞳』は、その2年後に木下恵介監督の手で映画化され、壺井栄ブームを呼びました。
『二十四の瞳』はどんな作品?
日本映画史上に残る不朽の名作と言われる『二十四の瞳』は、壺井栄の代表的な小説です。昭和3年(1928年)、小豆島の分教場に赴任した新米教師・大石久子と分教場の12人の生徒たちの交流を描いています。昭和初期から戦後にかけて、時代に翻弄されながらも必死に生きる彼らの姿を通して、戦争の悲しみや苦しみを訴えています。
映画村内にある「ギャラリー松竹座」では常時、木下惠介さんが監督、高峰秀子さんが主演した映画『二十四の瞳』を上映しています。お時間が許す方は是非ご覧ください。
◎「二十四の瞳」映像化の歴史
<映画>
・昭和29年(1954年)/監督・木下惠介、主演・高峰秀子
・昭和62年(1987年)/監督・朝間義隆、主演・田中裕子
<テレビドラマ>
・昭和39年(1964年)/主演・香川京子
・昭和42年(1967年)/主演・亀井光代
・昭和49年(1974年)、昭和51年(1976年)/主演・杉田景子
・昭和54年(1979年)/主演・島かおり
・平成17年(2005年)終戦60周年特別ドラマとして放送/主演・黒木瞳
・平成25年(2013年)木下惠介生誕100年記念として放送/主演・松下奈緒
<テレビアニメ>
・昭和55年(1988年)
「二十四の瞳映画村」はこんなところ
苗羽小学校田浦分校(岬の分教場)のオープンセット
映画村の奥に位置する 「苗羽小学校田浦分校(岬の分教場)」 は、ロケセットとして映画村に建築されたものです。校舎内には撮影スポットも数多くあります。映画村内で貸し出しをしている絣(かすり)の着物をレンタル(一着500円)して着用し、ノスタルジックな空間を体感するのがおすすめです。
また、校舎の外には実際に撮影で使用された 自転車 も展示されています。
校舎の近くには、岬の分教場に勤める 男せんせい夫婦の家 があります。黒木瞳さんが主演した2005年版テレビドラマ『二十四の瞳』では、生徒の一人である片桐コトエ(蒼井優さん)が亡くなり、戸板に載せられて運ばれるシーンなどが撮影されました。
昭和の雰囲気漂う「キネマの庵」
「キネマの庵」 には、
- ギャラリー「日本映画黄金期1950’」
- 懐かしの給食メニューを頂ける「Cafeシネマ倶楽部」
があります。
映画ギャラリーでは、昭和23年(1948年)の『青い山脈』から昭和35年代(1960年代)の石原裕次郎さんが活躍された日本映画黄金期と言われる時代の名作の映像が流れていたり、昭和を懐かしむレトロな品々が数多く展示されています。
「Cafeシネマ倶楽部」は、小豆島の民俗資料に囲まれたレトロな雰囲気のカフェです。
こちらで是非食べて欲しいメニューが、上記写真のアルマイトの食器に入った昔懐かしい 給食セット 。セット内容は、揚げパン、カレー、牛乳またはコーヒー牛乳、冷凍ミカンとなっています。レトロな雰囲気の中、懐かしの給食を味わってみてください。
また、第35回日本アカデミー賞で最優秀賞を含む10冠を記録した、小豆島がロケ地となった映画『八日目の蟬』の小豆島展も常設展として「キネマの庵」で開催しています。
知る人ぞ知るパワースポット「二十四の瞳天満宮」
赤い鳥居をくぐった先にあるのが 「二十四の瞳天満宮」 です。学業成就祈願の天満宮で、知る人ぞ知るパワースポットとも言われています。
お土産屋も充実!
映画村内にはお土産屋も充実しています。「二十四の瞳」の限定品を取り扱う、 二十四の瞳オフィシャルショップ「チリリン屋」 や小豆島のお土産を多数揃えている 「大正屋」 などがあります。