就職や資格取得を経て、キャリアを築いていく女性のうち、育児や介護、家事労働などの負担を引き受けることから、自分以外の理由で仕事を手放さなければならないと感じる女性は少なくありません。
今回から始まるシリーズ【転職を選んだ女性たち】では、ワーママ歴13年目の編集者が、自分のキャリアのみならず時に家庭や家族のことまで担いながら働く女性たちにインタビュー。ワーママ目線を取り入れながら彼女たちのストーリーをご紹介します。同世代である30~40代女性の働き方や生き方、一括りにはできない女性のあらゆる選択と人生にフォーカスし、前向きに生きるヒントを探っていきます。
【アラフォーでの転職】キミ子さん/IT企業/正社員/40代
今回、お話を伺ったキミ子さんは、都内IT企業で正社員として働く40代の女性。現在は、不動産投資者向けの情報メディアを運営しながらバックオフィス担当を兼任しています。
キミ子さんは現在お子さんや同居するご両親はいないということですが、ずっとフルタイム勤務を続けてきた中、30代後半で時短勤務という働き方を取り入れます。
その選択の背景や、実際の時短勤務の取り入れ方やメリットについてお話を伺いました。
40歳を過ぎた女性の再スタートは難しい?
―まずはキミ子さんのこれまでの働き方を教えてください。
不動産業界に長くいて、平日は朝から晩までガッツリ働く生活をしていました。30代後半で同じ業界内で転職したのをきっかけに、時短で働くことを視野に入れ始めました。
―そのタイミングで時短勤務に興味を持たれたのはなぜですか?
新しい環境では、社会復帰してきた年上の女性がたくさんいました。その方達は子育てがひと段落してまた働き始めた方や、久々に業界復帰した再スタート組。それまで「女性の40代での再スタートは難しい」となんとなく思っていましたが、色んな働き方を取り入れながらも楽しそうに活躍する彼女たちを見て「働き方を変えたとしても結構大丈夫なんだな」と思いました。
40歳過ぎの再スタートが全然ありなんだと知ったら色んな働き方があることに気付いて、一度自分に合う働き方を探してみようと思ったのがきっかけです。
タイムスケジュールを狂わせる通勤時間
―既婚子持ちに関係なく、日本には「40過ぎの女性の採用や再スタートは厳しい」というのがなぜか昔からまん延していますよね。私もそう思い込んでフルタイムが手放せなかったり転職に踏み切れなかったひとりですが、では色々な働き方を模索するその中で、まず時短勤務という働き方に決めたのはなぜですか?
ベンチャー企業に転職した元同僚が時短で働き始めて、その子が時短勤務のメリットを教えてくれたのが興味を持ったきっかけです。自分の時間が作りやすいことはもちろん、自分のメンテナンスの時間が取れるというのを聞いて「時短で働く」ということを本気で考え始めました。時間の有効活用という点で自分の人生や健康を大切にするのはもちろんですが、フルタイムで勤務していた時は通勤時間がとにかくしんどくて。往復で数時間取られるのは時間ももったいないし、有効活用しようにも日本の満員電車では読書もできない。満員電車で体調を崩す時もありました。
―通勤に苦労し悩むサラリーマンは多いですよね。ワーママ目線だと、心身は平気でも配属先次第で通勤時間が大幅に変わり子供の生活にも大きく影響することがあります。通勤の問題は時間、健康、生活など実は多角的に大きな問題を抱えてる部分かもしれません。
わかります。私は都内のメディア運営会社で、パートとして短時間勤務をスタートさせました。出勤は毎日していました。ところがこのタイミングで引っ越しをすることになり、結局通勤時間に往復で4時間近く取られることになって…それをきっかけにさらに時間が重要と考えるようになったんです。
それで引き続き色んな働き方を試してみようと考える中で、たまたま知り合いから声をかけていただいたのが今の会社です。