本日5月17日、ビリー・アイリッシュのニュー・アルバム「HIT ME HARD AND SOFT」がリリース。
同日、お台場の「ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場」において、ニュー・アルバムの「リスニング・イベント」が開催された。
従来のビリーの世界観は継承しながら、さらに深く、さらに聴かせ方のバラエティに富んだ最新アルバムを、映画館というすばらしい音響と大音量を保証された空間で聴く体験はまさに極上。
ファンが集まった映画館のスクリーンには、動くアルバムのジャケットと共にリアルタイムで歌詞が浮かび上がり、目と耳でビリーの歌を浴びることができた。
今回は、そんな大音量の良質な音響で聴いたニュー・アルバムの魅力を、楽曲ごとに紹介させていただく。
大音量で聴く!「HIT ME HARD AND SOFT」10曲レビュー
ギターのアコースティックな響きが心地良いトラック1「SKINNY」では、自身と向き合い直すような歌詞が刺さる。
ストリングスの優雅な音色がトラック2「LUNCH」に導くと、腹に響くバスドラムのビートとノスタルジックなエレキサウンドが鳴り響く。
1曲目では喧騒が、2曲目では車のブレーキ音が入ったりと素材の使い方も面白い。
トラック3「CHIHIRO」ではビリーの持ち味のひとつである高音のウィスパーボイスが美しく響き渡る。ビリーの声がどんどん電子音に飲まれていくパートは大音量では特に圧巻だ。
トラック4「BIRDS OF A FEATHER」はどこか異国風の爽やかさとビリーならではの篭ったサウンドが同居した面白い1曲。「死の日まで、瞳から光が消えるまで愛してる」と歌うこの曲では、パーカッションのサウンドがシャカシャカと鼓膜を刺激する。
足音やアコースティック・ギターの音色がすべてASMRのように耳を癒すトラック5「WILDFLOWER」。エコーの効いたビリーの歌声(特に最後)が映画館の空間をしっとりと包んだ。
ドラムスも目立つ終盤の盛り上がりも、大音量ではさらに格別だ。
左右に振られた弦の音が、特に映画館では“立体音響”感を増したトラック6「THE GREATEST」。アルバムの中でも特段ビリーの感情が悲しげな声に乗って聞こえる、切実この曲。歌詞として大画面に表示された“THE GREATEST”とともにビリーの声が響き渡るクライマックスはまさに圧倒的だった。
ライトで怪しげな序盤、重厚にバンドサウンドが重なった中盤、一気にシンセサウンドがメインのサイケな雰囲気になる後半と表情を大きく変えていく、このアルバムで最もトリッキーなトラック7「L’AMOUR DE MA VIE」。
タイトルはフランス語で、歌詞にもある通り「The Love of My Life」という意味になる。切ない失恋ソングながら、どこかノスタルジックで大人びた哀愁を感じるこの曲は、ビリーがまだまださらなる進化を続けていくポテンシャルを感じさせる。
哀愁漂うサックスに始まるトラック8「THE DINER」では、どこかティム・バートン映画(におけるダニー・エルフマンの音楽)のようなダークでミステリアスな雰囲気がクセになる。
終盤響く不思議な音にも、映画館では丁寧に耳を傾けることができた。
沈んでいくようなサウンドが、水に沈むビリーのビジュアルにもマッチして聞こえるトラック9「BITTERSUITE」。水とそのビートによって、ふと頭には『リトル・マーメイド』の悪役アースラが歌う「Poor Unfortunate Souls」が浮かんだ。
“SUITE(組曲)”とつく楽曲らしく、他の楽曲の歌詞も散りばめられているところに注目したい。
この曲も同じく“組曲”じみた歌詞構成となっているトラック10「BLUE」。エコーをもって響き渡るビリーの声の中、スネアドラムサウンドが突き抜ける。
独特の効果音や加工した声など、ひとつひとつの特徴的な音色を全身で楽しむことができた。
最後にはビリーのインタビュー映像も流れ、日本へのメッセージも!(追って別記事で紹介)
進化し続けるビリー・アイリッシュのニュー・アルバム「HIT ME HARD AND SOFT」は本日リリース。
映画館でなくとも、ぜひなるべく良質な音響、そして可能な範囲の大音量で、さまざまなサウンドや歌の響きに耳を傾けていただきたい。
アーティスト・プロフィール
2001年12月18日生まれ、米国ロサンゼルス在住のシンガー・ソングライター。
2019年に発売したデビュー・アルバム『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?/ ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?』は英米を含め全世界18の国と地域で1位を獲得。2019年に全世界で最も売れたデビュー・アルバムとなり、米ビルボード・アルバム・チャート(Billboard 200)の年間アルバム・チャートでは史上最年少で1位に輝いた。彼女の代表曲「bad guy/ バッド・ガイ」は、全米シングル・チャート(Billboard Hot 100)で1位を獲得し、2000年以降に生まれたアーティストとして史上初の偉業を達成。2021年4月には、ここ日本でも、日本レコード協会のストリーミング認定開始以降、洋楽女性アーティスト初、さらに洋楽史上最速でのプラチナ認定(1億回再生)となった。
2020年の「第62回グラミー賞」で、史上最年少18歳で、年間最優秀レコード、年間最優秀アルバム、年間最優秀楽曲、最優秀新人賞の主要4部門に加えて合計5部門を受賞。
主要4部門の獲得は39年ぶりの史上2人目、最年少、初の女性という偉業を達成。2021年の「第63回グラミー賞」でも、2年連続となる年間最優秀レコードと、最優秀映像作品楽曲を受賞。グラミー賞で最も権威がある年間最優秀レコード賞を2年連続で受賞した、史上最年少19歳という記録を作った。
2021年10月に公開した映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』では、主題歌「No Time To Die」を最年少で制作、歌唱。同楽曲は、ビリー初のUKシングル1位、初の女性シンガーが担当した007主題歌1位、そして2020年UK発売初週で最も売れた曲に。
待望の2ndアルバム『Happier Than Ever/ハピアー・ザン・エヴァー』を、2021年7月30日に発売。全米・全英含む全15か国で1位を獲得。
2023年映画『バービー』のために書き下ろした楽曲「What Was I Made For?/ホワット・ワズ・アイ・メイド・フォー?」は、第81回ゴールデングローブ賞「最優秀オリジナル楽曲賞(映画部門)」、第66回グラミー賞「年間最優秀楽曲」、第96回アカデミー賞「歌曲賞」を受賞。
2024年5月17日、待望の3rdアルバム『HIT ME HARD AND SOFT/ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』を発売。
リリース情報
ビリー・アイリッシュ
ニュー・アルバム『ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』
2024年5月17日(金)デジタル/CD発売
国内盤アルバム
封入特典:両面ポスター
先着購入特典:先着特典:マグネットシート
<収録曲>
『HIT ME HARD AND SOFT/ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』
1. SKINNY/スキニー
2. LUNCH/ランチ
3. CHIHIRO/チヒロ
4. BIRDS OF A FEATHER/バーズ・オブ・ア・フェザー
5. WILDFLOWER/ワイルドフラワー
6. THE GREATEST/ザ・グレイテスト
7. L’AMOUR DE MA VIE /ラムール・ドゥ・マ・ヴィ
8. THE DINER/ザ・ダイナー
9. BITTERSUITE/ビタースイート
10. BLUE/ブルー