現役ケアマネージャー“ケアマ姐さん”に聞く、親の介護相談室(1)「もしかして認知症?」と思ったときに最初にすることは?

相談者:Yさん(40代・1人っ子の主婦)

ケアマ姐さん:某地方都市にて、学校を卒業してから約30年間、介護職に従事し続けてきたプロ。2006年の介護保険制度の改正主任ケアマネージャーの資格を取得。利用者のケアプランを作成するほか、ケアマネージャーを管理や指導も行う。モットーは、介護を受ける本人だけでなくご家族の方との信頼関係も築くこと。

・認知症なのか、ただの老化なのか…。まずは誰に相談したらいいの?

Yさん:1年ぶりに実家に帰ったら、親の様子が少しおかしかったんです。何度も同じ話をしたり、家の中が散らかっていたり。認知症が始まったのでしょうか?

ケアマ姐さん:親御さんにかかりつけ医がいるのでしたら、まずはかかりつけ医の先生に相談して認知症の診察してもらうがおすすめです。でも、病院を親が嫌がりそうなら、自治体のホームページなどに掲載されている認知症ガイドや認知症チェックリストを利用してみるのも1つの手。チェックしてからご家族がかかりつけ医に相談するのもよいでしょう。

Yさん:もし認知症と診断されたらどうしたらよいですか?

ケアマ姐さん:認知症と診断された場合は、生活をする上で困り事が増える可能性があるため「介護認定」を受けることをおすすめします。ちなみに「介護認定」は認知症ではなくても生活にサポートが必要であれば受けることができます。介護認定申請は、市役所や区役所で申請代行ができます。「地域包括支援センター」は、中学校区に1つくらいの割合である地域に根付いた公的機関。申請してから認定結果が出るまでは約1ヵ月ほどかかりますが、介護保険制度では正式に申請が降りる前でも、暫定ケアプランを受けることができます。ただし、そのためには担当のケアマネージャーを決めて支援してもらう必要があります。直接、ケアマネージャーがいる事業所に問い合わせしてもよいですが、役所や地域包括センターでも紹介してもらえますので、なんでも相談してみてくださいね。

・ケアマネージャーさんを利用する費用って?

Yさん:どうしたらよいか分からずに、不安なので担当のケアマネージャーさんが相談に乗ってくれるのは安心です。でも、費用が心配…。

ケアマ姐さん:ケアマネージャーに対する費用ですが、介護保険制度を利用するため、利用者の直接的な負担はありません。

Yさん:そうなんですね!まずは、簡単なチェックをしてみてかかりつけ医の先生に相談し、万が一認知症と診断されてしまったら公的機関の窓口へ出向いてみます。ちなみに、離れて暮らしているのですが、わたしの住んでいる地域での相談も可能なのでしょうか?

ケアマ姐さん:相談自体はどこでも可能ですが、実際に介護が必要な方の近くの事業所の方をおすすめします。地域に詳しい方がよりよい支援ができるので。担当のケアマネージャーが決まれば、電話などで相談しながら進めることが可能になります。実際に私も、他県でご家族が暮らしている利用者の担当もしていますが、ご家族とは電話で相談しながら介護の方針を決めていますよ!

Yさん:安心しました!わたしは1人っ子なので、親の近くに相談できる方がいるというのもありがたいです。もし利用することになったら、信頼のおけるケアマネージャーさんが担当してくれるといいなぁ…!

ケアマ姐さん:もし利用中に、不安や不満があればケアマネージャーの事業所や、「地域包括センター」、役所に相談してみてください。実際に途中で担当のケアマネージャーが変わることはよくあります。ご本人だけでなく、ご家族との相性もありますので、気軽に相談してみてください。ストレスを抱えたままでは、よい介護はできませんですからね!

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