第1話では藤巻が「ギフト」の分析・培養を始めるとともに、病院理事長・奥野(坂東彌十郎)を相手に大立ち回り。「ギフト」の存在を公表しない交換条件として、妻・麻帆(明日海りお)の心筋細胞手術の許可を取りつける。しかし、藤巻から「ギフト」の扱いを相談された心臓外科教授・白鳥(佐々木蔵之介)が理事長の座を奪うべく悪用し、奥野は殺害されてしまう。研究大好きで悪事や権力争いとは縁のなかった藤巻は、突如として殺人事件の共犯者となってしまった。
第2話は藤巻が院内外で行う「ギフト」の生みの親捜し、理事長殺害による漁夫の利を得ようとする悪人の登場など目まぐるしくストーリーが展開したが、ハイライトは序盤の“証拠隠滅”シーンだろう。藤巻と白鳥は奥野の死因を心不全として処理したが、娘の看病で病院を出入りする警視庁警部補の神林(尾上松也)は行政解剖を決行。以前は捜査一課で活躍していた神林の“勘”が早くも白鳥の悪事を見抜いたかたちだが、藤巻は新理事長となる白鳥の命令を受けて証拠隠滅を図るべく行政解剖に同行する。ここは少々ご都合主義が否めなかった。「ギフト」による心不全の唯一の証拠となる首の黒ずみ(嚢胞)に、こっそり保冷剤を当てる藤巻。まあまあ大きな保冷剤を遺体に当てていることに気付かない神林たち。全身黒ずくめ・パーマヘアーの刑事が活躍する某名作ドラマであれば、この時点でチェックメイトの大胆行動だが、藤巻の涙ぐましい努力により行政解剖で「ギフト」が発見されることはなかった。ギフトを密かに悪用する白鳥よりも、保冷剤を大胆に悪用する藤巻にハラハラさせられた。なんとも不思議なドラマである。
第2話でも「ギフト」の生みの親である黒幕は分からずじまいだった。ただ、病理部検査技師の久留米(波瑠)や、愛宕がひいきにしていた高級クラブのオーナー・安曇杏梨(倉科カナ)などに対し、藤巻が公に詮索を始めたことで、脅迫文を送っていただけの黒幕が新たな一手を繰り出すかもしれない。黒幕は秘密裏に「ギフト」の研究、殺人という名の人体研究を進めたかったはずだ。それが藤巻に発見されたことで計画は狂ったはずであり、紙上の脅迫でおとなしくさせたかったところだが、藤巻は黒幕捜しに奔走し、白鳥にいたっては「ギフト」をネタに“ゆすりたかり”をしてきた病理医・伊集院(盛山晋太郎)を培養球菌で殺害してしまう。黒幕としては「人の殺人球菌でなにしてくれてんだ!」と激高してもおかしくない。第3話では黒幕が白鳥の命を狙っても不思議ではないだけに、名優・佐々木蔵之介が早くもフェードアウトすれば大きなサプライズだ。