園ちゃん、ああ、園ちゃん。金曜日はもう言葉もなく、15分泣き通しでした。波乱、としか言いようがない第18週。書き上げたムジナモの論文を田邊教授(要潤)との共著としなかったために、東大植物学教室を出入り禁止とされ、標本も取り上げられてしまった万太郎(神木隆之介)。新しい酒を作り始めた矢先、「火落ち」により酒がすべてダメになり、廃業に追い込まれる峰屋の綾(佐久間由衣)と竹雄(志尊淳)。少し前に長屋の福治(池田鉄洋)が「いいことが続くと、悪いことが起きるのではと怖くなる」と言っていたことを思い出しました。どうして人生は、しあわせなことばかりではないんでしょう。そしてこんなにも「悪いこと」が、今、起きるなんて。あの小さな手を伸ばしていた空に、帰っていってしまった園子。麻疹の熱が出てわずか3日で、まだ2歳にもなっていないのに。

 「大事なもの」「欲しくてしかたないもの」。もし、そういったものがなかったら、人生はもう少しイージーモードかもしれない。田邊教授は、万太郎の持つ植物に愛される力がどうしても欲しかった。万太郎そのものも、欲しかった。でも手に入らないと思い知り、もういらないと切り捨てることで「私の魂は自由だ」と、晴々とした顔になる。彼のように「欲しい」という気持ちを捨てて、今手にしているものだけで十分だと思えたならいっそ楽なのかも……でも私たちは「どうか、もっと」と望んでしまう。植物に愛される力を持ちながら、もっと標本が見たい、本が読みたいと、持っていないものを欲しがる万太郎もそう。「峰の月」という看板商品があっても、新しい酒を自分で作りたいと挑戦する綾もそう。子どもに幸せに長生きしてほしいと願うあまりに長い名前をつけてしまう、落語の寿限無の親もそう。