馬場ふみか演じる専業主婦が、モラハラ夫(野村周平)を社会的に抹殺しようと計画するドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』(テレビ東京系、火曜深夜0時30分~)。話題のドラマを、夫婦関係について著書多数の亀山早苗さんが読み解きます(以下、亀山さんの寄稿)。

◆夫に「クズ」と言われて「ごめんなさい」と謝る妻がつらい

ドラマだとわかっていても胸が痛む、もしくは胸くそ悪いと感じることはある。ドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』の初回は見ていて苦しかった。それだけ俳優の演技がうまかったとも言えるのかもしれない。

奥田茜(馬場ふみか)は、新進気鋭の広告マンである大輔(野村周平)と結婚して1年。夫はいずれ奥田産業という実家を継ぐ予定だ。ところがこの夫のモラハラがひどい。ドラマ冒頭、広くてきれいなマンションのダイニングが映る。おいしそうなカボチャのスープの色も美しい。テーブルにはホテルのような色とりどりの料理が並ぶ。スコーンも茜が焼いたものだ。冷めないうちに、夫にスープを飲んでもらいたくて、茜は早めに声をかける。

だが起きてきた大輔は、食卓に見向きもせず水を飲み、「プレゼンの準備もあるから、もう出るわ」と言い放つ。そんな……と戸惑う茜に向かい、「やめろよ、その顔」と強烈な一言。「会社行く前から疲れるわ」と投げやりな言い方で追い打ちをかける。

夫に「クズ」と言われて「ごめんなさい」と謝る妻がつらい。