5月10日(金)より映画『ジョン・レノン 失われた週末』が公開となる。
本作は、ジョン・レノンとオノ・ヨーコが別居していた「失われた週末」にジョンがどのような生活を送っていたのか、その真実に迫る作品となっている。中心となるのは、ストレスが重なりどんどんナーバスになっていったジョンを見かねたヨーコの強い希望でこの期間をジョンとともに過ごすこととなったメイ・パンという女性の証言だ。
50年ほどを経てついに明かされる証言も多く、ザ・ビートルズ好き必見の映像作品となっている。
このたび、tvgrooveはそんな最新作で鍵を握る中心人物メイ・パンにオンラインインタビューを実施。赤裸々な思いを語ってもらった。
【予告編】『ジョン・レノン 失われた週末』
メイ・パン『ジョン・レノン 失われた週末』公開記念オンラインインタビュー
1973年の“失われた週末”から、この映画の公開までに、実に50年の時が経ちました。“この物語を世に届けよう”という動きはいつ、どのようにして始まったのでしょうか。
パン:本当に時間がかかったよね。これまで言われてきたことは正直いって正しくないこともたくさん伝わっていたということもある。作品が動き出したのは2017年だよ。完成までにもそれなりに時間がかかったということは、それだけしっかりとしたものを作りたいということの表れだと思う。
当時を赤裸々に語るこの映画が公開されたことにより、メイさんの周りで何か変化はありましたか。
パン:ファンの方は皆さんとても驚いていたな。でも人の気持ちというのは変えられないものだから、残念ながら中にはまだ「何を言っているんだ」と全然信用してくれない人もいるんだ。仕事の周りの人々でいうと、ジャーナリストやメディアの方々は「待ってました。これを聞きたかった、話してほしかったんだ」というふうに受け入れてくれたよ。
映画であなたがジョンの“愛”について語られていたのがとても印象的でした。そばで見ていたメイさんから見て、ジョンの“愛”や恋愛観というのはどのようなものだったのでしょうか。
パン:ジョンの愛や恋愛観は移り変わっていくものだった。なぜなら彼は人生のあらゆることに対して興味津々で、何事も「どうして?」と追及し、何に対しても満足しない、「これで終わり」と立ち止まらない人だったからね。だから彼の愛や恋愛観もそのように移り変わっていったんだと思う。
単身でザ・ビートルズのオフィスに飛び込み、ジョン・レノンに愛されるまでに至ったメイさんの行動力に憧れる人々も多いと思います。夢や目標はありながらも尻込みしている人々に、メイさんだからこそ伝えられるメッセージはありますか。
パン:私は最初は何か良いこと(=ジョン・レノンに愛されること)があるといいなとは思っていなかった。とにかく働きたかった、そこがポイントだと思うよ。大事なことは、人生の中で自分が何を求めているのかをしっかりと持つことだと思う。とにかくまっすぐ前を向いて、誰に何を言われようともシャットアウトして、「自分が何をしたいか」をしっかりと持ち続けてくださいと伝えたい。
映画では、「仲間が銃を持ち出して、大騒ぎしながらジョンが帰った」といった衝撃的な出来事も語られていました。ほかに、印象的な衝撃のエピソードや思い出があれば教えていただけますか。
パン:一番印象的で大変だったのは、映画にも描かれていたフィル・スペクターの話。銃を持ち出したときは私とジョンは「空砲だからいいや」と思っていたけど、次の日スタッフが「これが昨日フィルが撃った弾だよ」と持ってきてとても驚いたよ。それから私は気を付けるようにしたけど、フィル・スペクターはとても気分屋で、何をしだすかわからない人だった。たとえばジョンと私に対しては態度が違って、ジョンと一緒に車に乗ろうとすると、フィルのボディガードに拒否されて乗れないようにされたこともあったんだ。私はいつもジョンをコントロールしようとするフィル・スペクターと戦っていたようなところがあった。ただ、ジョン自身は楽しくやっていたということもあり、辛かった、苦労したという部分はあったな。
最近、ジョンが遺した歌声を使用したザ・ビートルズの楽曲「Now and Then」がヒットしましたね。「Now and Then」のプロジェクトについて、ジョンと親しかったメイさんの感想を教えていただけますか。
パン:一番初めは「わあ」という懐かしさを感じたよ。ジョンの声やリンゴやポールの声が入ってきて、ジョージの演奏があって、このままこうして聴けていたらよかったな…と思ったよ。
ザ・ビートルズまたはジョン・レノンによる楽曲で、メイさんのお気に入りはどれですか。またその理由を教えていただけますか。
パン:ジョンの曲ではやはり私に書いてくれた「Surprise, Surprise (Sweet Bird Of Paradox)」(邦題:予期せぬ驚き)と「#9 Dream」(邦題:夢の夢)だね。私の声が入っている(※)から、ジョンが作った曲の中でも自分にとって大事な曲だよ。ザ・ビートルズの曲では、彼らの声そのものをストレートに聴ける初期の作品が好きだな。
※「#9 Dream」では「ジョン…」という声が確かにハッキリ録音されている。
メイさんがジョンの訃報を知ったのはニュースで報じられてからであると映画では描かれていました。亡きジョンに今ひとこと伝えられるなら、どんなことを伝えますか。
パン:ジョンの訃報を最初に聞いたのはラジオだったんだ。「まだ愛しています」と伝えたいというのが一番だよ。
最後に、日本でこの映画を観る観客に改めてメッセージをお願いします!
パン:おそらく皆さんがあまり知らない、ある時期のジョンについての物語だと思う。私たちがどのようにしてその時間を過ごしたのか、ぜひ知ってほしいし、そして興味をもってほしいな。
(インタビュー以上)
『ジョン・レノン 失われた週末』は5月10日(金)より角川シネマ有楽町、シネクイント、新宿シネマカリテ、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。
作品情報
タイトル:『ジョン・レノン 失われた週末』
配給:ミモザフィルムズ
日本公開:5月10日(金)
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