6日、プロボクシングの4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチが東京ドームで行われる。日本ボクシング史上最高傑作との評価を確固たるものにしている王者・井上尚弥に挑むのは、メキシコの“黒豹”ルイス・ネリ。ボクシングファンにとっては、その名前は激しい憎悪とともに記憶に刻まれている。

 2018年の両国国技館。会場は殺気に満ちた沈黙に包まれていた。かつてWBCバンタム級のベルトを12度も守った元王者・山中慎介はマットに横たわり、ネリはコーナーに駆け上がって両手を突き上げ、勝利の雄たけびを上げている。

 2.3kgのオーバーウエイト。

 前日計量で発表されたその数字は、怒りを通り越して「あり得ない」と感じさせるものだった。ボクシングの世界は厳密に体重で区分されている。規定の体重を作ることが試合成立の大前提である。