公的年金は老後の生活費の大きな柱になりますが、個人事業主やフリーランスといった国民年金第1号被保険者の方は、会社員などの第2号被保険者に比べると将来の年金額が少ないため、不安を感じる人も多いと思います。しかし、第1号被保険者でも将来の年金額を増やす方法はいくつかあります。今回はその中でも月400円で始められる「付加年金」という制度をご紹介します。

付加年金とはどんな制度?

(写真=PIXTA)

将来の年金を増やすための制度

付加年金とは、毎月の国民年金保険料に付加保険料400円を上乗せすることで、将来受給する年金額を増やすことができる制度です。

どんな人が加入できるの?

付加年金に加入できる人は、「国民年金第1号被保険者」と「任意加入被保険者(65歳以上は除く)」となっています。

国民年金第1号被保険者とは自営業者やフリーランス、学生、無職の方などで、会社員や公務員の方は加入することはできません。また、国民年金基金という別の年金制度に加入している方も、付加保険料を払うことはできません。

任意加入被保険者とは60歳以降も国民年金の保険料を払っている人のことです。例えば60歳になっても老齢基礎年金の受給資格期間である10年間を満たしていない場合や、20歳から60歳までに納付済みでない期間があり、老齢基礎年金の額が満額受給できない場合に任意で60歳以降も国民年金の保険料を払うことができます。

そうすることで、65歳以降に老齢基礎年金を受け取れたり、金額を満額に近づけたりすることができます。ただし、付加保険料を払えるのは65歳までとなっています。

付加年金でどれだけ年金が増える?

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では、付加保険料を払うと将来の年金はどれぐらい増えるのでしょうか?付加年金の年金額は、「200円×付加保険料納付月数」となっています。400円を1ヵ月だけ払うと1年間の年金額が200円増えるということなので、割に合わないと感じる人もいるかもしれませんが、詳しく計算してみましょう。

付加保険料を10年、20年、40年払った場合の保険料合計金額と、将来の付加年金の年金額は表1のようになります。

表1.付加保険料を納付した期間と、将来増える年金額

付加保険料納付期間 保険料合計額 付加年金額(1年分)
10年(120ヵ月) 4万8,000円 2万4,000円
20年(240ヵ月) 9万6,000円 4万8,000円
40年(480ヵ月) 19万2,000円 9万6,000円

※2020年度の老齢基礎年金の満額は78万1,700円ですが、付加保険料を40年納めた方は9万6,000円プラスされ、87万7,700円受給できます。

表1を見てわかるように、付加保険料はいつから納付を始めても、それまで払ってきた保険料合計額の半分が将来の毎年の年金額にプラスされます。つまり、2年で元が取れ、10年で5倍、20年だと10倍になって戻ってくるということです。

付加年金のデメリットは?

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インフレに対応できない

老齢基礎年金は毎年同じ額が支給されるのではなく、物価の変動によって金額が変わります。つまり、将来物価が上がれば受給できる老齢基礎年金の額も上がる可能性があります。しかし、付加年金は年金額が決まっているため、物価が上がっても増額はありません。

国民年金基金に加入できない

国民年金第1号被保険者が将来の年金額を増やす方法として、国民年金基金という別の年金制度もあります。しかし、付加保険料を納付していると、この国民年金基金には加入できません。

付加年金はお得な制度ですが、なにぶん保険料が少額なので将来増える年金額も多くはありません。一方、国民年金基金は月々最大6万8,000円の掛け金を納付できます。付加年金のように将来5倍、10倍になることはないかもしれませんが、金額を多く納付した分、受け取る額も大きくなります。お金に余裕がある方は国民年金基金を検討してみてもいいでしょう。

付加年金はメリットが多くお得な制度

(写真=PIXTA)

自営業者やフリーランスの将来の年金を増やせる「付加年金」についてご紹介しました。インフレには対応していませんが、それ以外のデメリットはほとんどない、とてもお得な制度です。月々400円なら誰でも始めることができるので、国民年金第1号被保険者の方はぜひ加入を考えてみてください。

文・松岡紀史
肩書・ライツワードFP事務所代表/ファイナンシャルプランナー
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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