◆男性ブランコ、藤井隆 群像劇に美しく溶け込んでいた

映像でも演劇でも、お笑い芸人が参加すると、芝居がうまいとはいえ、特別出演的に、ピンポイントで印象的な役割が与えられがちなこともあるのだが、男性ブランコは『鴨川ホルモー、ワンスモア』という群像劇に美しく溶け込んでいた。彼らはもともと大学では演劇サークルに所属していたそうで演劇色が濃いのだろう。

群像劇にきれいにハマっていたといえば、『カラカラ天気と5人の紳士』(シス・カンパニープロデュース 作:別役実 演出:加藤拓也)の藤井隆も。あれほど芸人としてキャラが濃いにもかかわらず、お芝居のなかでは堤真一、溝端淳平、野間口徹、小手伸也と見事過ぎるバランスをとっていた。

 お笑い芸人は、お芝居の世界では頼れる傭兵(ようへい)のような存在で、彼らが参加している作品は間違いないといっていいだろう。作品選びの参考にしてみてほしい。

<文/木俣冬>

【木俣冬】

フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami