ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズとKonelは、ゴム人工筋肉を用いたやわらかいロボット「Morph(モーフ)」を核に置いた無目的室「Morph inn(モーフ イン)」を、5月17日(金)~25日(土)の期間限定で開業する。

なぜ、無目的室が求められるのか

ソーシャルメディアが生活インフラとなった昨今、サービスに夢中になるあまり、他人の存在に意識を傾けすぎ、自分のための時間や意識が疎かになりやすい。そのような中で、メディテーションを中心としたソーシャルデトックスに大きな注目が集まっている。

ただ、メディテーションを中心としたソーシャルデトックスは、気軽に続けることが難しいケースも存在するのではないだろうか。現代を生きる人々の生活には、立場や状況を気にせず、ありのままの自分を、簡単にさらけ出せる環境が不足しているといえるだろう。だからといって、人を相手に素をさらけだしていくことは、近しい間柄であっても簡単なことではない。こうした課題意識から「Morph」は誕生したという。

期待や目的を持つこともなく共存できる「Morph」

同ロボットには、自然界や動物のモーションをセンシングしたデータがインストールされている。

映像から動きの特徴点を抽出し、ゴム人工筋肉を制御する形式にデータを変換する仕組みは、独自開発によるものだ。


ゴム人工筋肉は、チューブとスリーブの2層構造となっており、生物の胎動や呼吸、潮の満ち引きのような自然界のデータをもとに有機的に動作する。生のデータとゴム人工筋肉によって表現される動きは、生物とも機械とも異なる、同ロボットならではの息遣いを生み出す。

コミュニケーションをとることもなく、また人に合わせて制御されることもない、ただ生物的に動作する仕組みだからこそ、気を使うことも、期待や目的を持つこともなく共存できるのが特徴だ。

人とロボットとの歩み寄りを目指して

開発したブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズは、ブリヂストンの社内ベンチャー。


産業向けの“器用な手”TETOTE(てとて)や、“触れ合いにより心を動かすソフトロボティクス ”umaru(うまる)などを商用化に向けて展開中だ。


ソフトロボットハンドのコンセプトモデル「Dialogue」は、国際的なデザイン賞「iFデザインアワード2023」金賞を受賞した。

同社は、ソフトロボティクスが拡張するキーワードは「人とロボットとの歩み寄り」、つまり人とロボットが互いを信頼しゆだね合う体験にあると考え、その未来を具現化するべく、クリエイター集団Konelとの共創プロジェクトを発足。「Morph inn」の開業に至ったという。