阿蘇グリーンストックは、阿蘇の草原再生に関する寄付額の増加や野焼き支援ボランティアの増加を目指す「阿蘇草原再生プロジェクト」の一環として、草原の新たな価値創造と情報発信を行う「ブラックBBQ」を、3月20日(水)に1日限定で開催した。

グリーンストックを後世へ引き継ぐ

阿蘇は、中・北部九州5県(熊本・佐賀・福岡・大分・宮崎)の主要6河川(緑川・白川・菊池川・筑後川・大野川・五ヶ瀬川)の源流地域にあたり、300万人以上の人々がその恩恵を受けており、「九州の水がめ」的位置にある。

広大な緑の大地は、日本有数の食料生産基地でもあり、カルデラ火口丘と草原が織りなす雄大な自然景観は、毎年日本全国・海外から1,700万人以上の人々が訪れる癒しの地にもなっている。さらに、千年以上も続いている阿蘇の草原には大陸性の希少動・植物も多く生息しており、世界遺産にも匹敵する国民共有の財産とも言えるだろう。


阿蘇グリーンストックは、「千年の草原」と称される熊本県阿蘇地域の草原の保全・活用を、熊本県、環境省、地元市町村や民間企業と協力しながら行っている。

同団体は、草原・森林・農地といった、阿蘇の緑の大地を広く国民共有の生命資産(グリーンストック)と位置付け、農村・都市・企業・行政四者の連携により、後世へ引き継いでいくことを目指している。

阿蘇の草原維持の一躍を担う「あか牛」を堪能


阿蘇グリーンストックが3月20日(水)に開催した「ブラックBBQ」は、野焼きシーズンならではの草原一帯の黒色を表現し、阿蘇の草原維持の一躍を担う「あか牛」を堪能する企画。


「あか牛」の魅力を最大限楽しむために、ガス火を一切使わない独創的なイノベーティブレストラン「.know」の鍬本峻シェフを招き、野焼きによる火を活用しながら前菜からメイン料理までの計6品が提供された。


参加した人々からは、「阿蘇ならではの野焼きを、料理とコラボレーションする企画には驚いた」「あか牛を初めて食べたが、甘味と旨味がしっかりありながら、脂っこくない味わいで非常に美味しい」といった声が挙がったそう。

阿蘇の草原再生に向けた支援の輪を広げる

「ブラックBBQ」で使用された「あか牛」は、阿蘇の草原を食べて育っており、「あか牛」を100グラム食べることで、阿蘇の草原約4.5畳分の保全につながるとも言われている。

かつて草原は家を作り、家畜を養い、農業の堆肥となる貴重な資源だったが、農業の機械化や化学肥料の普及、茅葺き屋根の減少など、農業形態や生活様式の変化に伴い、資源としての草原の必要性は希薄に。さらに、阿蘇の草原を守る上で行ってきた「野焼き」の参加者は50~70歳代の方が半数を占め、高齢化、人口減少による担い手不足により、阿蘇の草原の面積は、ここ約100年間で半分以下に、直近30年を見ても4分の1近く(面積にして約7,500ha)減少している状況だという。

そのような状況下にある阿蘇の草原において、「あか牛」を堪能できる機会を創出することで、阿蘇の草原再生に向けた支援の輪を広げていきたいと同団体は考えている。

この機会に、阿蘇の草原再生や野焼き支援ボランティアについて学んでみては。

阿蘇グリーンストック公式サイト:http://www.asogreenstock.com
「阿蘇草原再生プロジェクト」公式サイト:http://www.asogreenstock.com/sougensaisei

(佐藤ゆり)