◆狩猟生活を送る東出昌大、野性味ある役に説得力

東出さんの演じた倉蔵には森監督の思いが重なっていると、NHKの『クローズアップ現代』の「集団の“狂気”なぜ~関東大震災100年“虐殺”の教訓~」で語られていた。とすれば、村という共同体や軍人組織などの集団から距離をとっている倉蔵が、村と村の外の間に流れる川を日々行き来する仕事を営んでいることも象徴的にも見える。

倉蔵は毎日、黙々と客を乗せ小舟を漕いで往復している。彼の日に焼けた身体の野性味。群れずにひとり平然と生きる姿に人妻が心惹かれてしまうのもナットクの、倉蔵という役の説得力はどこから生まれたのだろう。

©「福田村事件」プロジェクト2023
©「福田村事件」プロジェクト2023
東出さんが、近年、山小屋に暮らし、一人銃を担いで獣を追う「単独忍び」というスタイルの猟を行っている体験が寄与しているのではないだろうか。

東出さんが狩猟生活を送っているという意外なニュースがネットを賑わしたのは、23年3月~4月にかけてのことだった。数年前、東出さんが倫理的に問題視される行いをして、世間が反発、それまでの好感度の高い俳優というイメージが崩れ、テレビに出ることは少なくなった。