さまざまなハラスメントが社会問題として話題になっている今、自分が被害にあった時、だれに相談すればいいのか、どこからがハラスメントと呼ばれるのかがわからず頭を悩ませている方も多いようです。そんなお悩みに弁護士、齋藤健博さんがお答え。今回は配属された部署とは違う仕事をさせられている方からの相談です。
Q. 配属先とは違う仕事をずっとやらされています……
ゲーム会社のデザイナーをしているのですが、「開発費をもらっていないから仕事しないで」と言われ、最近はデザインとは関係のない事務のお仕事をさせられています。本来の仕事ができないのは、ほんの数日だけのことだと思って受け入れていましたが、2ヶ月経過しても同じ状況のままです。
本当に仕事がないのか調べた所、デザインの仕事は外注していたことがわかりました。私が入社する前から決まっていた案件で引き継ぐ時間がないからという理由だったそうなのですが、なぜ採用したのか疑問に思いますし、全く別の仕事をさせられたままです。雇用契約書内容と実務が全く違うのですが、これは違反に当たらないのでしょうか?
またこのような理由で転職したいと思ったときに、会社都合での退社ということで処理していただくことは可能なのでしょうか?(きらり/25歳/デザイナー)
A. 雇用契約書の内容を確認して!
きらりさんの職種は、デザイナーとのことで、ご自身の才覚を活かしきったうえで自由にゲームのデザインができることが望ましい会社にいらっしゃいます。こういった環境下において、「開発費をもらっていないから仕事しないで」と言われると、実際自分の姿態仕事をできていないことを意味しています。
ここで重要なのは、当初雇用契約を締結した際の条件、合意内容です。デザインとは関係のない事務のお仕事をさせられることが適切かどうかは、当初の労働条件の合意に大きく依存するのです。しかし、これらを確認することもなく、本来の仕事ができないのは、ほんの数日だけのことだと思って受け入れていましたが、2ヶ月経過しても同じ状況のままですと、いつまでも、現状が係属してしまう可能性が高いことはきらりさんも何となく、気づいているのではないでしょうか。このような状態で、デザインの仕事を外注してしまったことを知ると、ショックは隠しきれないかもしれませんが当初の労働条件に対する合意内容と現状とのギャップを埋める作業をしなければなりません。
程度の差はあれ、雇用契約書内容と実務が全く違うその際を検証し、法的に問題であれば改善を要求する、または転職したいと思ったときに、会社都合での退社ということで処理して貰う交渉をすることは十分あり得るはずです。